ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ:岸本佐知子さんからの流れで知ることに
ショーン・タン。オーストラリアの絵本作家。
どこかで見たこともあったけれど、本格的に知ったのは、2019年の僕の人生を変えた「掃除婦のための手引き書」を翻訳した岸本佐知子さんが、ショーン・タンの絵本(というには文章がしっかりある)の翻訳をしていたから。
夢のような絵と、やさしくて、でもひやりと冷たいものが走るような、さらには大きな「自由な空気」に包まれた物語が詰まった「遠い街からきた話」という本を買った。心を持っていかれた。
この展覧会はショーン・タン本人の監修のもと、『アライバル』や『エリック』などの絵本の原画をはじめ、2020年度のケイト・グリーナウェイ賞を受賞した新作『内なる町から来た話』の油彩大作、スケッチ・立体作品など約130点の作品で構成されている。
会場内では、アニメーション映画「ロスト・シング」(字幕付き全編)、展覧会限定のインタビュー動画も上映されているというので、高速道路を飛ばして、緊急事態宣言のなか会場へ向かった。
ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ:芸術家はあきらめない。
北九州市立美術館 分館というのにも初めて行った。
北九州市立美術館は山の天辺で、ロケーションはいいけどなかなかいきづらかったけど、分館は小倉城の前、リバーウォーク北九州という商業施設のなかにあるからいきやすい。
分館っていうくらいだから「まあまあそれなり」だろう。
なんて思っていたけど。
その展示の情報量に圧倒され、「ロスト・シング」に感動し、インタビューに勇気をもらった。
先日見たヒグチユウコ展でも思ったのだけど、芸術、アートっていうのは「ひらめき」とか「天から降ってきたアイデアを天才が形にするもの」ではない。
ほんとうに大切に、毎日コツコツと集中し、すこしずつ煉瓦を積み上げていくような地味で地道な作業なんだな。
生まれ出た「アイデア」を形にするまで、調査し、サムネールを書き、ラフを書き、方向を転換させ、修正し、何年もやる。
芸術家っていうのは
負けない人だ。
あきらめない人だ。
僕が知ってるのは岸本さんの翻訳の本なんだけど、ショーン・タンを有名にしたのは「セリフのない絵本」。
移民の物語の「アライバル」というものらしい。
とにかく、圧倒的に愛と力強さにあふれた「これでもか」という絵が、ずらり。
古い写真からおこしたイメージコラージュから、絵本が出来上がるまで5年。
どうやらある男が妻と幼い子どもを残し、スーツケースひとつでどこかへ旅立とうとしている様子。
辿り着いたのは異世界、未知なる場所で男は生活を始める。
そこでは幾多の苦難が待ち受ける。
ハードな物語がセリフ無しで進み、細密み書き込まれた絵が想像力を爆発させる。
奇妙な生き物の愛おしさよ!
圧倒的すぎて、息が詰まりそうになるんだけど、そこにあらわれる「ちいさな不思議な生き物」。
ほんとうは僕らの世界にもいるのかもだけど、「それらを見る目」がなくなってしまったのかも。
ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ:非常事態宣言の街でみる「不思議な世界」
新型コロナウイルスのせいで人々の行動が制限される「非常事態」な今。
僕らは「みえない恐怖」「重々しい空気」におしつぶされそうだ。
でも、だからこそ。
目には見えない「ちいさなもの」をみる目が必要だ。
抑圧から逃げる、自由ないきものでありたい。
恐怖に絡め取られない生き物でありたい。
鉛筆で描かれた細密な絵は、もうひとつの世界を切り取ったモノクロ写真のよう。
だいすきな交換留学生のエリックのおはなし。
絵本で読んだ(見た)ときの50倍くらいこころが震える。原色の絵。ひとつひとつの絵。超絶な力量の絵。
画家は、絵を描く仕事なんだなぁと思い知る。
これは「地道な仕事の展覧会」だ。
世界がどんなであろうとも、自分の仕事をやり続ける。
熱と愛情を持って。
ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ:奇異なものでも、君が愛していれば愛されるよ
作品の素晴らしさについて、ずっと話していられる。
でも、今回、僕の人生において、とても重要なメッセージは、彼のインタビューのなかにあった。
いま、アートを目指してる人へという質問だったか?
「周りの誰かが何を言っても、自分の作品を愛して」
「人から奇異だとおもわれるものでも、それは誰かの心をふるわせる存在」
「忘れないで欲しいのは想像することと制作すること」
「ベストを尽くしてやり続けて」
自分が「認められるか?」なんていう不安はアートを志してる人でなくても、消しても消しても沸き起こってくる感情だとおもうけど「自分が作品に満足してたら、それはもう「成功」だよ」と、ショーン・タンは言った。
よく「満足したら終わりだ」という。
それってとても強い呪いでもある。
満足して、そこで歩みを止める人は、そんなにいないんじゃないかな?
満足して、また、新しく作る人が多い気がする。
満足して「成功してる」と思って、さらに進む。
すごく新しいメッセージ。
ぼくはこの言葉に命をもらった。
ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ:油絵スケッチのすばらしさ
ショーン・タンは「とにかくスケッチ」だと言ってた。
現実を描くことが夢の世界を描くことにつながるのだろうか?
スケッチを、とにかくやろう、と。
油絵の小さなスケッチもたくさんあって、それがまたいちいち素晴らしかった。
ミニマムな表現で、空気まで捉える。
カッコ良かった。
これが「画家」だよなと思った。
2時間ちかく、びっしりと見て回った。
脳みそフル回転。
すごくやる気をもらった。
ありがとうショーン・タン。
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