僕はサニー食堂という「架空」の食堂をやっている。
まあ、お客さんは自分をふくめ3人、時々出張でふえるときもある。
利益の上がらないお仕事だけど、男女共同参画が叫ばれる中、「家事」というものに新規参入したわけだ。
いろんな料理をアプリを見、本をみて作る。
料理には喜びもある。
確かにある。
- 味付けがうまく行った時
- レシピの材料が手元になくて、代用品が当たった時
- 冷蔵庫の中身をうまく使えた時
- セールだった食材を先に買って、失敗せずに料理できた時
どれもうれしい。
だがしかし。
一番嬉しいことは、ささいなことで、しかも重要なこと。
ゆでたまごの殻がうまくむけた時
これ以外にない。
ゆでたまごの殻をむいたことのない人はいるのだろうか?
ほぼいないのではないか?
戦中派のあの人も、ゼロジェネレーションのあの人も
ゆでたまごをむいたことはあるのではないだろうか。
先日まで、僕は
ゆでたまごっていうのは「つるん」っとむけるものだと思っていた。
生まれてからいままで、なんどもゆでたまごを作ってきたけど
「ゆでたまごのからむきは難しい」
と思ったことはなかった。
実際、ほとんどの場合、つるっと向けてた(ような記憶がある)
これがなぜか、ここのところ3〜4回、連続で失敗しているのだ。
水から入れて、沸騰して7分。
冷たい水できゅきゅっと冷やして、そいつらをコツンコツンとやると、どちらか一方が割れる。
続けて何度叩いでも、「割れてない方」は割れない。
ゆでたまごの殻にヒビを入れながらレイシズムについて考える。
ひび割れた心は、どんな衝撃にも負ける。割れ続ける。
割れてない方は「自分がいつか割れる」なんて考えもしない。
だからゴツンゴツン衝撃が走っても平気なのだ。
ところがいつまでもそうはいかない。
他の卵にぶつかって、思いもよらず割れてしまう時が必ずくる。
そうなったらもう、何に当たっても心が壊れるだけだ。
そんなことを思いながら、ゆでたまごの殻を割っている。
あんなに「湯上り卵肌」といわれていた桃井かおりさんに申し訳がないくらいに、ボロボロの肌のゆでたまごがそこにある。
白身が深さ1ミリくらいはげてるところもあれば、触るもの皆傷つける覚悟で小さく殻がへばりついているものもいる。
悲惨だ。
放送コードに引っかかるくらいのボロボロさだ。
ショックを受けた僕は妻に相談した。
妻は歴戦の勇士であるので、対処法をいろいろ教えてくれる。
たまごが新しかったからじゃない?
もっと冷たく冷やした方がいいんじゃない?
空気を「ふっ」と入れるのもいいんじゃない?
言われたとうりにやってみる、でもできない。
煮卵になる予定だったものが、たまごソーズになって、白身魚のフライやサンドイッチとともにその役割を終える。
いや、美味しいからそれでもいいんだけど。
でも、あの美しかったゆでたまごは、もう見れないのか?
もしかしたらコロナウイルスやトランプ元大統領の陰謀がからんでるのか?
はたまた日本政府が能無しだからか?
今日僕は「たまご」を買いに行った。
いろいろ考えたげく、導いた結論はこうだ。
- サニーはサニー食堂♫なんてはじめていい気になってる
- いままでは「対素人」のスタンスだったたまごが、「そろそろ主夫むけでいこうか」と話し合い、カラムキレヴェルを上げた
- 温度や、卵の鮮度などをきちんとしないと「ゆでたまご」はできないぞと、教え始めた
僕になかったのは「誠意」だと思った。
ゆでたまごを「まあ、煮卵でも作っておけば、一品助かるし、弁当のおかずにもなるもんね」なんていう雑な気持ちで作っていた部分があった。
今考えると。
だから今日、まあまあ寒い中。
卵を買いに行った。
もちろん他のものも買ったけど、主役は卵だ。
豚肉も、トマトも、ハムも、いってみれば犬、猿、キジ、だ。
たまごを選んで買い、お買い物袋の一番上に丁寧に載せて、自転車で帰る。
その間もずっとイメトレを欠かさない。
「ぷるん」
「つるん」
ほら、湯上りたまご肌やん。
家に帰り、たまごをゆでる。
冷水にさらす。
水が冷たい。
コツンと当ててみる。
慎重に、薄皮を確認して、するっとむく。
とれた。
つるっととれた。
やはり、たまごへの接し方が問題だったのだろう。
うれしい。
こころから嬉しい。
有森さんに先に言われたけど、自分で自分を褒めてあげたい。
今日のメインは「煮卵」です。
明日のお弁当のメインは「煮卵」です。
などとうまくまとめようとしてたらキッチンから
「ぼん!」
と音がした。
煮卵が破裂していた。
水が減っていたのだ。
道は厳しい。
初心を忘れないように誓って、いまから鍋を磨きます。
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