赤は生命力の色。太陽の色。暗闇にいる赤が一番美しい。
青は海の色。広さをあらわす単位。暗闇の中では広く感じる。
赤いカーディガンを着たあの子は、ふっと前髪を吹き上げる。
その息は空気を震わし、別の世界に住む男の子の心に忍び込む。
裸のわきの下からそっと。
男の子には天使がいて、陽の光に透けて見えるほどの白い肌と、 ハチミツのような髪の毛を持っている。
「私を好き?」
天使はきく。男の子は答えない。聞こえないふりじゃない。 答えがここにないからだ。
愛のないセックスによって感染する死の病。
そのワクチンを巡る暴力と愛憎。
こういうふうに「汚れた血」を伝えることもできる。
二度とおなじ世界では生きられないであろう、ジュリエット・ ビノシュとジュリー・デルピー。
一瞬の衝突がこの映画を奇跡レベルに持ち上げている。
ぼくの生涯第一位。「汚れた血」
青春病にかかっているこの映画の作者は、 膨大なセットを組んだ失敗作や、 自己投影しすぎてエンターテイメント枠を外れた作品などをポツポ ツと発表後、沈黙した。
それは答えがそこになかったんだろう。
ふたりの女優にはさまれ、昇天するのは怪人、ドニ・ラヴァン。
この世に落ちた天使の彼は、 美しい体と心をいやおうなしに見せ付ける。
男の子の恋心は一方通行。
彗星が地球に接近したおかげで触れ合えた一夜以外は。
ホテルの部屋を見上げて、想いを届けようとする。
幽玄のバレエを踊りながら。
電話線に縛られているからこそ、自分の居場所がわかるんだ。
この星の上に生きていることがわかるんだ。
でも、それに何の意味がある??
赤と青と二人の女優、そして怪物の白い肌。
それらを永遠のものとして焼き付けた功績は大きい。
願いはかなわない。想いは届かない。
この映画から受けたイメージに僕は今でもとらわれている。
ジュリエットビノシュがゴジラのせいで原発で亡くなっても
ジュリーデルピーがイーサンホークと痴話げんかを繰り返しても
ドニがホーリーモーターズで奇跡のカムバックをしても。
「おれはもう年老いた」
かつて青年だった男がつぶやく。
この映画を見た頃の僕は20歳そこそこ。
いま僕は年老いて、 青春の残り火をぼんやりと眺めているだけかもしれない。DVDという文明が、 いつも簡単に青春をリプレイしてくれるから。
僕の海馬にあるスクリーンにはいまでも「汚れた血」 が上映されている。
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