デヴィッド・ボウイがプロテインを飲みヘルメットを装着して旅立った夜。

ツイートっていうのはやっかいだ。
ウソやニセ情報がたっぷり。
ニュースソースがいいかげんだったり、はじめから「虚構」だったりする。

だから「デヴィッド・ボウイ死去」っていうニュースは「やなウソながしやがるなあ。こないだニューアルバムが出たばっかりじゃないか。それも亡霊のようなボーカルで最高にヒリヒリしたやつ」
プロモーションにしてはね。礼儀を知らんね。

 

でも次々流れ込むニュース。「死去」「死去」「死去」
まるでニュースが現実を作っているような気持ち。

 

僕の一番好きなキンクスのレイ・デイビスが死んだとしても
「ああ、おじいちゃんだったもんね。合唱」とかおもうはずだけど。デヴィッド・ボウイ死去はやっぱりなんとなく違和感がある。

 

 

 

僕は熱心なファンではなく、レコードをほとんど持っていたというだけで、
ボウイのパーソナルはしらない。

ただ、顔がこんなにかっこいいロックスターを知らない。
大好きなデヴィッドシルヴィアンでさえおかめ顔にみえちゃうくらい。

ボウイのレコードはいつも驚きの連続で
最初に買ったのはスケアリーモンスターズ。
伝説のロックシンガーというより、最新流行のニューウェーブ。新しかった。
古臭いロックギターのかけらもなかった

そう。ボウイはいつも新しい。

レッツダンスが大ヒットして、昔のファンが「これはボウイじゃない!」って怒ったりしてた。
MTV世代のぼくらにとってはボウイはいつも流行歌手だった。

「昔の歌をやらないよ」

なんていうのも彼らしく、そしてあっさりやっちゃたりするのも。

ボウイ

 

発売順はもうわからないけど、
とても暗い気持ちでユウウツを楽しみたかったら「LOW」がぴったりだし
心を奮い立たせたかったら「ヒーローズ」
豊潤なやわらかいエッジの「ヤングアメリカン」とか大仰なロックオペラ「ジギースターダスト」や「ダイアモンドドッグ」なんかは気分をハイにさせてくれる。
カバーばっかりのレコードを作ったり、
おなじイメージのレコードがあまりない。

どこを切ってもブライアンフェリーなロキシーミュージックとはちがう(ロキシーも大好きよ)

そして、ぼくらはボウイを忘れていった。

 

いきなり帰ってきた2013年。
10年ぶりだった前作「ネクストデイ」の圧倒的なかっこよさにうちのめされた。
その年のナンバーワンアルバムだった。
若々しく、みずみずしくポップで。
まあいつもボウイには「大御所感」は皆無だったけどね。

 

ぼくらのような50歳くらいか、それ以上のロックファンたちは、これからも続く「スター喪失」に対する免疫をもっておかないといけない。

ロックバンドは解散し、ロックスターは逝く。
僕らに残されてるのは彼らが作り出した音楽と
彼らが示した「音楽の作り方」。

そして、「自由であれ」「勇気のある知恵をもて」というメッセージ。

ぼくらはデヴィッドボウイではないが
ぼくらはデヴィッドボウイの作品を知っている。

 

追伸。

僕が一番好きなボウイの作品は、ルーリードの歌う「サテライト・オブ・ラブ」
この天使のようなコーラスはこの世のものじゃない。
ルーはしんじゃったけど、ボウイは他の星へ旅立っただけだから、二人はあえないだろうけどね。





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