ターシャ・テューダー 静かな水の物語:KBCシネマは無法地帯?
ある年代の女性に人気のターシャ・チューダー。彼女の暮らしぶりや庭についての本がたくさん出てる。
ガーデニングの神。
スローライフの神。
おばさまたちの神、の彼女。
ゴールデンウィークの後半、5/3にKBCシネマ北天神へ出かけた。さして興味はないけど(笑)
なんやら「満員御礼」というウワサ。
嫌な感じもしつつ向かうと、みたことないような長蛇の列。
まあ、映画を見るマナーにかける人のオンパレード。
館内に入っても電話する人。
上映の途中でメールする人。
ブンブンなるバイブ音。
福岡ってやっぱり市民レベルが低いなあという感じ。トホホ。
そして、そんなおばさま集団が好きそうな映画だった。
ターシャ・テューダー 静かな水の物語:彼女は好きなことをやってるだけ
いいとこのお嬢さんとして生まれたんだけど、社交界よりは土いじり、農業の方が自分に合ってる!と田舎に引っ込んだターシャ。
彼女は徹頭徹尾「自分のやりたいことをやる」という信念の元、動く。
年がら年中草むしりだとしても。
と言うより、「草むしりは当然」だ。こちら側からみたら「大変そう」と思うことも、草むしりの向こう側にあるものを知ってるから彼女は平気だ。
毎日、何かを選び
何をして、何をしないかを選ぶ。
僕はターシャ・テューダーのような生活は真っ平御免だが、そんな「他人から見たら真っ平御免だろうが関係ない」という意志が素晴らしい。
美しい生活というのは、周りから見て「美しく見えること」ではなく、やってる本人が美しいの感じられるかどうかという一点においてのみ判断されるべき。
映画は全編、庭造りに興味のない僕には理解できないことで出来上がっていて、ウトウトする瞬間も多々ある。
好きな人にはたまらんだろうし、ピンとこない人には苦痛でもある。
そもそも好きでない人は見ないだろうけど。
ターシャ・テューダー 静かな水の物語:誰に会い、誰に会わないか
ターシャ・テューダーは画家。お母さんの描いた絵も素晴らしかった。
でも遠く離れたこの島国では「憧れのスローライフクイーン」というイメージでしか捉えられてない気がする。
一年に一度、連れ合って映画を見にくるマナー知らずのおばさま達が相手だとしても、その「年に一回」に意味があると思う。
映画館にこない人にも映画を見てもらうために。
彼女は選ぶ。
何をし、何をしないかを。
誰と会い、誰と会わないかを。
ここがすごく重要だ。
僕らはすべきことを探し、会うべき人を作ることに必死になる。
人生のほとんどを「やるべきこと」の実現に費やす。
でも重要なのはもしかしたら
- やらないこと
- 会わない人
なのかもしれないなぁ。
自分の世界を守ることは、多くの他人に「世界を認めてもらうこと」ではないよね。
僕らは共感を求めすぎるあまり、自分の世界を守れてないんじゃないかなぁ。
一つ一つの小さな選択で毎日は出来てると、ターシャは言う。
その草が「雑草」か「ブランド花」かは重要ではなくて、自分の世界にとって必要か?いい感じか?で選ぶ。
素晴らしく強い。
彼女は92歳で亡くなったんだけど、「庭は自然にもどす」と言っていた。「私の作り上げた庭をだれかに継いでほしい」ではなく。
やりたいことを丁寧に選び、やりたいことだけをする困難を克服する。
スローライフどころじゃない。
ターシャ・テューダーは自分の国の戦士で、国王で、庭師で、召使だ。
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