1983年。ぼくは北九州市小倉北区にいた。オーティスレディングを聞きながら。

今日はやばい。書きたいことがない。
なんて思ってたときに。携帯電話が鳴った。

 

昔おせわになったデザイン事務所の社長、N氏からだった。
近頃は入退院を繰り返してるんだけど、今日はなんか元気だった。
あたりさわりのない近況と
病気のことと
「youtubeみてるよ。君はいい歌を書くけど、歌が下手だなあ」
なんてことを(笑)

 

 

中学校の頃から「就職しないで生きたい」と思ってた僕はなんとか手に職を付けたいとアイデアを練っていた。
大学にはいった最初の夏休み。知り合いのつてをたどってたどり着いたデザイン事務所にもぐりこんで、初めて見る洋書やデザインの本などを一日中みてた。

スタジオジャムというデザイン事務所。

そんなぼくを邪魔だなあと思っていたかもしれないけど、彼はだまって面倒みてくれた。
世の中をひねくれた目で見てた10代の若造を。
何かの役に立つわけでもなく黙っているだけの若者を。

 

そのデザイン事務所で流れていたのがSTAX系のR&B。

オーティスレディング、サム&デイブ、ブッカーT、ルーファストーマス・・・。
ざらついて、乾いて、泣いてるんだか怒ってるんだかわからないその歌声や
センスのいいスティーブクロッパーのギターに心奪われた。

めんたいロックやローリングストーンズ、パンクバンドにはない、かっこよさに夢中になった。

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社長はレコードを貸してくれたり。
ギターを貸してくれたり。

いま自宅レコーディングでつかってるベースは、そのころデザインのギャラ代わりにもらったもの。

 

デザインの話や、音楽の話をぽつりぽつりとしてくれた。
くだらない話のほうが多かったけど。

10代のおわりに、こんな環境。
とくにかまわれもしないけど、そこにいる事ができる場所。
僕の人格形成上、とても素晴らしい執行猶予期間。

文化の香りと、タバコのにおいにつつまれた青春時代。
同年代の友人とつるんで無茶をすることがなかったかわりに、たくさんの大人の話を聞いた。

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その後僕はバイトを転々とし
東京へいき
福岡へ帰ってきた。

 

その頃は感じなかったけど。
サニーサイドというデザイン事務所をひらいてたとき。
小さな湊の事務所に。
10代のギタリストがやってきては、ギターを弾いたり、ソファでねてたり、した。
歴史は繰り返すんだな。

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事務所を越して、ひろくなったときには
今でも付き合いのあるシンガーやギタリストが、遊びに来ては時間をつぶしてた。
セッションや練習をたくさんした。
そんな場所。
ゆるやかな執行猶予期間。

忙しさにかまけてぼくらがなくした一番大きなものは
そんな場所かもしれない。

 

いつだってお金には困っていたし
いつだって仕事は忙しかった
いつだってキュウキュウだったはずなのに
いつだって心に余裕があった。

 

50歳を迎える前あたりから、考えるようになった。
ぼくらおとなは、こどもたちにこんな場所を提供すべきだと。

なにもしないってことも、なにかをしたいってことも
同じように尊重される場所を。

 

成果や結果をもとめない時間を。
大人はこどもたちに提供すべき。

ぼくはたくさんの大人からそんな時間をもらった気がする。

 

もらったものは、返さないとね。

 

そう思ったら、苦しくて味気ないような仕事でさえ、明るくやっていける気がする。
がんばろう。

 

 

そうそう。その社長マーヤとセーラーゾンビはお気に入りのようだったよ。





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