キンクスと先輩。6畳のロックミュージアム

高校時代。僕らの町「小倉」には、めんたいロックというブームの一角があった。禁止されてたバイトをしてギターを手に入れた。地元の星ルースターズみたいなバンドをやりたくて。

弦の押さえ方を何個か憶えて、一日中弾いていた。

RCサクセションもまだそんなに有名じゃなかった。海の向こうの音楽はどこか他人事で、でもローリングストーンズくらいは聴いておかないと馬鹿にされるから、友達のカセットテープを聴いていた。

 

 

退屈な高校時代のあと、大学に。バンドはもうやらなかった。演奏するってことに興味がなくなったから。

 

 

一年生の頃、僕は下宿してた。なんとか荘って名前の、30人くらいが住んでるアパート。おなじ大学の先輩たちと一緒に暮らしてた。

 

ある時、聞いたことのある曲が二階から流れてきた。シーナ&ザロケットがやっていた「ユー・リアリー・ガット・ミー」だ。ギターのイントロが簡単でかっこいいから好きだった。もちろん、よく弾いてた。

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人見知りではあるけど、興味のあることにはガンガンいっちゃう僕は、その先輩の部屋を訪ねた。その人の部屋はレコードが山のようにあった。

ブルースやR&B、古いロック。

パンクのレコードはあまりなかったけど、知らないアーティストの音楽がたっぷりだった。

 

その人はポツリポツリと解説をしてくれた。

このバンドはキンクスといって、ビートルズ、ストーンズ、フーに次ぐロックバンドだと。

その人はキンクスがいちばん好きだといった。

僕はピンと来なかった。キンクスのファーストアルバムのユー・リアリー・ガット・ミー以外の曲は、なんというか、たいしたことなかった。

 

「キンクスは歌詞がいい」とその人は言った。

 

歌詞?英語の歌詞の意味なんてわからなかった。

中学の頃の塾の先生が良く僕にレコードを貸してくれて、意味を教えてくれてたっけ?ああ、そうだ。英語にはいろんな節まわしがあったな。でもいまかかってるレコードのキンクスの曲からはあまり感じられない。だってそれは、ほとんどがカバーソングだったから。それもできの良くない、個性のないカバー。

赤茶色のジャケットのメンバーの写真もイマイチだったし。

 

「キンクスのよさは子供にはわからんとよ」と彼は言った。

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その日からぼくは時々その部屋へ行った。

キンクスだけじゃなくいろんな洋楽を聴いた。デビットボウイ、ジミ・ヘンドリックス、ドアーズはかなりかっこいいと思った。

 

ある日キンクスの「マスウェルヒルビリーズ」というレコードを聴いた。なんか昼間からよっぱらってるおっさんたちの写真のレコード。

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エレキギターでブンブンなリフを弾いてたキンクスの姿はなく、枯れたアメリカの音楽の香りがした。アメリカのロックなんて知らないけど、深夜やってたアメリカ映画のような音楽。管楽器とかがたくさん入ってて、バンドっぽくなかった。

演劇ぽく、セリフのように歌うシンガー。なんだかやる気がなさそうな演奏。

 

でも、すごく気を引かれた。

 

レイ・デイビスのへんな声。聞いたことない、ブンチャカサウンド。

イギリスのバンドなのに、なんでこんなにアメリカみたいなんだろう?どうして明るいお葬式のような音楽なんだろう?

 

その部屋で僕は洋楽の基礎を手に入れた。今考えてみると歴史的名盤と言われるものは大体聴けた。レアなものもあった。輸入レコード盤なんて、そんなになかったからまるで図書館のようだった。

 

ぼくは一年間しかその寮にはいなかった。

先輩は次の年には同級になり

次の年には後輩になった。

 

なにせいつも部屋にいた。レコードを聴いて本を読んでた。

楽器は、なかった。

 

いまはどうしてるんだろう?と勝手に思う。名前もまったく覚えてないのに。





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