映画「ジェームズブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男」を観て

今までずっと保留していたタイトル。
JBの事を知りたいと思ったのは大学の頃だったと思う。

JB22

 

存在が大きすぎて、どうしても西田敏行のモノマネが先に出てしまうのだけど
2週間くらいかけて彼のトラックのほとんどを一気に聴いた時期があった。

今まで聴いていたクラシックソウルがすべてペラペラな薄っぺらさを感じた
ゲロッパなんて言ってる場合じゃない。
ビッグボス!である!臭くて濃くてキレキレでカッコイイ。しびれた。

この映画で彼は「俺の音楽が源流で、あとには俺のマネか俺の影響を受けた曲しかできない」
みたいなことを言っている。大げさだけど、間違ってはいない。

幼かったマイケルジャクソンも彼を息をつめて観ていたそうで
キングオブポップスすらあこがれた存在であるのだから、

映画は、彼が発砲事件を招いた最悪な状況から始まる。
自分の事務所のトイレを使った人物に腹を立てて威嚇で発砲した。

「え、JBってそうなん!?」がこの回想からどんどん始まる

最悪な家族環境、幼少期から続くアメリカの人種の壁。
「お前が売れ始めたころに、白い悪魔が洒落たスーツを着て手を差し伸べる。
そのときお前はどうする?」と、デビュー前のJBに問いかけられるシーンが
印象的だった。

そして彼はビッグチャンスを手にするときにまさに予言通りの白い悪魔が
やってくるわけだけど。

 

JBDD

 

小市民の代表みたいな自分には、こういうときは「あ、すみません。いやもう結構です」
なんてこれ以上を望まないかもしれないけれど

彼はその白い悪魔すら自分のテリトリーの中に入れてしまう。
そして「俺は創り出す者だけど、ビジネスだってやるさ」と
自分を育ててきた仲間を家族を利用し、蹴落とし、成り上がり、孤独に。

そう、そとにかくセコイ。ゲスい。ヒドイ。
マンガだと確実に悪役のボスである。

そこがJBなのかぁ。と、自分の道徳観を覆す。
そもそも道徳観なんてピースフルすぎるわけで。

そして映画の出来もすごい。JBを演じるチャドウィック・ボーズマンの肉体美と動き。
歩き方はまさにJB。古い映像でみた彼の背中を観た気がして
ふふっ。と笑ってしまった。

JBを支えてきた相棒(そもそもは恩人で兄貴分なはずなのにいつの間にか奴隷)の
ボビー・バード役のネルサン・エリスも、いい味を出してた。よく似てる。

演出がちょっと派手で大げさなとこがあって、鼻につくところもあったけど
JBのことを映像で知れるありがたみは格別だった。

慎み深く、遠慮がちで規律に従順な現代の日本人のほとんどは
彼になることは到底不可能だと思う。
ソウル、とかで括れない生き様と理想があった。

彼の曲の中で一番好きなのはBIG BOSS
これを聴きながら街をゆけば、「したたかに生き抜いてやる」という気持ちで
肩をゆらして歩いてしまう。とにかく抑制のきいた音がたまらない。

 

The Paybackも好き。直訳すれば「金返せ」ってのがいい。





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