ブレードランナー2049:雨が降る降る映画館に
ブレードランナーの衝撃。最初に見たときの鮮烈なイメージ。もちろんそれには遠く呼ばない。
それでも2時間以上、面白く見れた。
2時間にまとめられていたら、もっとよかったかもと思うけど。
映画を見に行く前に前作をしっかり見てたので、納得できるところやニヤリ笑えるところもあった。
でも、これって明らかに前作が好きだった人へ向けての狭いマーケティングの上に成り立つもんじゃないかなぁと。
透明なチューブの中を車が走り、シルバーのキラキラしたビルと、人工太陽的な「手塚治虫の描く未来図」を信じていた僕のような人にとって、
あのじめじめしたカオス。
九龍のような世界は衝撃だった。
ホノグラムはもっと綺麗で、お天気は調整できて、何にも困らない世界がやってくると信じていたのに。
仕事は体を使うわ、きついは、ファストフードですませるわで。
雨の中を歩くたびにデッカード気分に慣れてた若い日。
そしてレイチェルの「人間離れした」白痴感。
ダリルハンナの可愛さ。
ブレードランナー2049:スターウォーズから始まる「ハリソンフォードと言う大衆派スター」を巡る旅の真ん中
後半に出てくるハリソンフォード。いやみな感じの残ろ笑顔は相変わらず。
でも何して食べてるのかもわかんないし、爺さんにしては武闘派だし。
若い時に本当に美味しい配役が回ってきたんだなぁ。すごい。
映画はいろんな「?」を回収できずに進んでいくけど(僕の知能のせいもあるかも)、ハリソンフォードという「人間」が生き延びることで刻み込まれた傷と悲しみが美しく。
生き延びるってのは、なくなってしまった愛すべきものとの「時間」を抱え込んだまま毎日を過ごすことなんだなあと。
強く履かないんだなと。
追跡するK役のライアンゴスリングも、一ヶ所だけの爆発のために表情を抑えていてすごく好感が持てた。いろんなプレッシャーがかかる中、よくやったなーと思う。
被差別がわでありながら、同族を狩る仕事をする気持ち。
どんなだろうか。
どうして「感情を抜きにしたほうがいい仕事」にわざわざ感情を持たせるんだろうか。
「人間にそんなことはさせられないから、レプリカントにやらせる」
冷たい言葉のように聞こえるけど、現代社会は
「普通の人間にはさせられないから、弱い人たちにやらせよう」
ていう風に見える。
ブレードランナー2049:風呂敷を広げすぎて畳むのにワチャワチャしちゃうけど
前作のブレードランナーはすごく狭い関係性の中で物語が動く。
絵柄としてのスケールはそりゃすごかったけど、そこに出てくる人たちの気持ちはわかりやすかった。
今回、物語の場所も転々とする。
スケール感がでかすぎで、あっけにとられる。
もともとSFがそんなに得意ではないし、兆候とか伏線とかを回収するのが苦手だ。
そういう意味でいくと、この映画はもたついている。中途半端に広すぎる。
感情的なシーンで見るものを感情的にしておいて、行きな「人間とは?」みたいな大きなテーマに振り開けたり、「レプリカントの逆襲」的なテロ映画の予告にも見える。
残念なところも多いけど、それでも面白く観れたのはやはり前作のおかげだと思う。
それともう一つ重要なのが女の人たち。
ブレードランナー2049:とにかく理想的なAIジョイと、上司、戦うレプリカント。
どんなに物語がもたってもAIのジョイ(アナ・デ・アルマス)が出てくるだけで、画面に花が咲き、心が躍る。彼女が消えてしまうシーンは一番好き。
アゴ割れてるけど(笑)
肉体を持てない悲しみを動きのない表情で見せてくれる。
言ってみりゃ二次元の女の子。チャイナドレスとかワンピとかもKが課金して買ったんだろうと思う。今と変わらない。
レプリカントでありながらレプリカントを追う仕事のストレスをAIに癒してもらう。
自己完結。
前作のショーン(レイチェル)ヤングも2017年ならではの技術で蘇るし。
ため息が出る。
Kの上司のロビン・ライトもすっごいイカす。
この映画では珍しいくらいのジャスティス。
で、僕は実は
倒産したレプリカントメーカーを買い取った盲目の社長に使える「戦うレプリカント:ラブ」に一番感情移入できた。
「完全なものはできないけど、まだまだこれから」何て言われても「私が一番」だって信じたい。どんな命令でもこなす。
そこに「叶えられない承認欲求」を感じてすごく切ない。
死にゆく(?)シーンでのさびしさは、Kやデッカードが助かったことよりさみしかった。
ブレードランナー2049:ブレードランナーが作った世界を最新技術で掘り下げてみた
結局はそこ。
それ以上でも以下でもないんだけど、すこーし大作にしすぎちゃったかな?孤児院のシーンまるまんまいらないかなとか、見た人はいろんな感想を持つと思うけど。
バットマン「ダークナイト」とかに見られる「ああ、もうちょっと小さな話だったら最高傑作になるかも」と思える。
でもそれが主流だとしたら、僕がスケール感についていけてないのかもしれない。
【609号室】ガーリーおじさんはまったく役に立たない2017
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