藍色夏恋:恋の橋渡し、せつない夏の始まり
台北の女子高生モン(グイ・ルンメイ)は、親友のリン(リャン・シューホイ)に頼まれて、水泳部のチャン(チェン・ボーリン)に「彼氏がいないか」聞いてあげることに。
何故なのかはわかんないけどこういうことってあるよね。
なぜ?その子と恋する相手がもしうまくいっちゃったらどうするの?とか思わないんだろうか(笑)
夜のプールに忍び込んで泳ぐ「チャン・シーハオ」
影に隠れて「彼女いるの!??」って大声で聞くモンとリン。
いよいよご対面!ってなったのにリンは紹介しようとしても出てこない。
「リン」とかいないんじゃないの?俺のこと好きなの、君じゃないの?と笑うチャン・シーハオ。
ほーら、ね。すれ違ったじゃん。
と、思う物語のスタート。
ところが観客が予期しない方向へ物語は流れていく。
藍色夏恋:ああ、台北恋し。緑がきらめく大通り
台湾の夏情景&高校生活の描写が繊細に、ユーモアも交えて、でもヒステリックになったりヒロイックに盛り上げたりせずに描かれる。
「好き」っていう気持ちをすんなり伝えることができるなら
物語はきっとストレートに流れていくんだろう。
水餃子の屋台とか、自転車もバイクも車もいっせいにスタートする道路とか
台湾がすきでたまらないひとにはほんと、「いながら観光」でもある。
本作がデビューのグイ・ルンメイ。
新しい映画には新しい顔が主演だと、物語は締まるよね。
ボーイッシュで、ひねくれたところもあって「私ってめんどくさいタイプよ」なんていいながら付き合ってみたり
「キスしてみる?」って迫ったり。
(まあこの後、このキスの意味がわかって、せつなさが増すんだけど)
藍色夏恋:秘密を打ち明け合うふたり。
「秘密を教えて。わたしも教えるから」
「好きだ」と思ってる女の子にそんなこといわれたら。
その秘密がしょーもなくても話すよね。
振り回される男の子、チャン・シーハオがほんとうに素晴らしい。ほんとうにかわいい。
モンとのデートで海に行ったとき(この時来てるTシャツが謎すぎなんだけど!「魚」って???)
「俺といて退屈?」
「普段はもっと面白い男さ」
なんて、聞かれてもないのに言い訳したり。
彼女が好きな音楽に「俺も好き」なんて言ってみたり。
「私にキスしたい?」って訊かれて「なんだよ突然」ってドギマギして、周りを見回し「ここで?」なんていったり。
ペットボトル回収の人にわざわざ届けに行ったり
彼女に会いたくて水餃子露天に通い詰めたり。
ほんとに可愛い。
藍色夏恋:私は女の子だから…男の子を好きにならなきゃ…
モンの秘密は「女の子が好き」なこと。
ほんとうにレズビアンかどうか確かめるために男の子にキスをする。
でも、なにも感じなかった。
モンが好きなのは、親友の「リン」
心のままに彼女にキスをして、無視される。
そのそもこのリンって子は!!
モンの名前を騙ってラブレターは出すは
チャンのバスケットボール、シューズ、日記なんかを盗んで手に入れてる。
捨てたペットボトルも。
ちょっと怖い。
でも、「ちょっと怖い」くらいに恋に落ちるってのもありなんだろう。
リンの恋は成就せず。
ちょっと悲しい。
好きな人が出来た、親友とケンカした。
本当は相手が異性とか同性とかはあまり関係ないはずなんだけど、ね。
とくに思春期はほんとうにつらいだろう。
ふつうは些細な出来事で済むのに、自分の「存在」まで揺らいでしまうような。
モンは、女の子を好きになった自分の気持ちを持て余しているのか、チャンに対しては「いつも仏頂面」。
でもそういうところに惹かれたりするんだよね。
「一年後か三年後、男性を好きになり始めたら一番に知らせろ」
ほんとうにいい顔をしてるふたり。
もしかしたら恋人同士になるかもしれない。
一生の友達になるかもしれない。
2002年と、古い映画なんだけど現代のお話のようにも感じられる。
とても丁寧に作られた映画。
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