秘密倶楽部@山鹿【トルとネードが巻き起こす放課後のおしゃべりタイム】

さて、山鹿に来るのは二度目。熊本巡りのことは次回ね。

今回、我が家の【熊本の今を見ながら、家中の小銭をかき集めてすっからかんになりながら、お金をとすツアー】のメインイベントは「秘密倶楽部」を見に行くこと。

立花綾香さんとれーなさんからなる「トルネード」のライブ。
会う人会う人「サニーさんは立花綾香、好きだと思う!」と言われ続け、「う〜ん、そんなに言われると逆にどうかな〜」なんて思ってた時に、あるイベントで一緒になって、この「トルネード」をちらっと見た。

そりゃかっこいいもんだった。

ただ、初めて見たときって「すごい!」ってことがフィルタとなって、本当に好きかわかんなくなるときあるでしょ?ほら、初恋とか、ひとめぼれみたいに(笑)

なので、確かめるために山鹿へ。福岡でのライブもあったんだけど、僕も他の会場でギター弾いていたので行けなかった。

 

山鹿の会場は、ステージ奥がカーテン。こういうの大好き。
ベルベットや体育館のカーテン、緞帳。
何かが始まる気がする。

ステージの進行についてはいろんなところでいろんなレポートが上がるだろうから割愛。

この日拾った幾つかのキーワードからライブを語ってみよかな?

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「赤い少女」

お客さんが座ってる中「走れ!」は歌いにくかったかも。
大きめのタカミネを抱える彼女は、ブルペンで足元の土の具合を調整するように、歌いながら会場を観察していたように見えた。
赤い少女が歌う姿は、怖くてたまらないのに指の隙間からホラー映画を見るように見える。

ライブスタート時に力んでる。それがすっと取れていくのを見る。
投げながら調整していく完投型ピッチャー。

赤い少女は歌う。自分にかぶせられたフタを吹っ飛ばすかのように。
繊細なギターでさえ躍動感に溢れてる。
強くあれ。
強くあれあたし。
小さなファイティングポーズを重ねながら。

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「黒い少女」

黒い少女は自分を闇だと思っているようだ。
でも彼女は黒くない。たくさんの色が混ざり合い、深い黒に見えるだけで。
光の当てようによって色を変える。とかげのように。
暗い闇に見えるのは、闇をまとうことを欲する人がいるからだ。

喉を掻き切るように歌う姿。
人の感情を揺さぶるには「「無茶」がないと。そのナイフは相手の首もとに届かない。
黒い少女は自分が見つけた戦術で、人が後手に隠してるものをさらけ出さそうとする。

この日は放課後メニューだったので振れ幅の多い選曲だった。
パブリックイメージや、自分自身かかける重圧から逃れた「原点回帰」だったのかもしれない。

カバーを歌う黒い少女は、少しだけ「ナマ身」だった。
小さな体に丈夫な甲冑を着け、ステージを戦場とする彼女の「密かな楽しみ」を共有することができたお客さんも、ふっと一息。

今はまだ、戦え。
経験がゆらゆらと重なっていき、その手のひらを開くまで。
そこに芳醇な果実はある。

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「ゲストたち」

「今日は、私たちの放課後です。やりたいように、やりたいことをやる」

そんな宣言の元、地元先輩ミュージシャンや、サポートギタリストなどのゲストがステージに現れる。
僕もサポートや一発勝負でのセッションを多くやる。自分を消しながらも「爪痕を残せるか?」「歌う人が倍以上に輝くか」という二点において神経をすり減らして(笑)

ただ、今日は先出のように、お客さんは「彼女たちの放課後」に付き合ってる「同級生」。ゆるゆるのズルズルなところがミソ。

ゲストが主役のトルネードを「輝かせる」のじゃなくて、トルネードの二人が「ゲストをおもてなし」するコーナー。そういう点では彼女たちが気を使って演奏をしてたように見えた。
ホームグラウンド山鹿ならではの光景。

 

「放課後」

頭のメロンが地球儀のようなゆるキャラ「きくちくん」の登場で会場はヒートアップ。
いやはや、怖い(笑)

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トルネードの二人は楽しみながら策を練る策士だ。
秘密倶楽部のPVの誘い方も素晴らしかったし

https://youtu.be/GvJLsUys8OA

つまんない話、くだらない話、胸を打たない話(笑)役に立たない話。
そんなものがあふれていた「放課後」
くだらない放課後から生まれたものや、芽吹いたものが人生のベースになるってことに、50年以上生きてきてようやく気がついた(笑)

青春というのは「少年期・少女期の放課後」だ。
自分の足で歩き始める前の。

そんな放課後の匂いが鼻の奥をツンとさせる。
女の子二人じゃないとできない世界。
蜜のようでもあり、ハバネロのようでもある。

 

「赤と黒」

赤い少女と黒い少女の馴れ初めエピソードやお互いの曲のトレードなど。
前半はまさに「ファン感謝デー」的。
会場を埋めつくた二人を知る人たちへのプレゼント。
お互いがお互いのしゃべりにかぶせていく感じはまさに、放課後。
もしくはお昼休み。
授業中は眠くてしょうがない。
休み時間になると目が覚めて饒舌になる。そんな子いたよね(笑)

で、いよいよ二人のオリジナル。

こっからが本番だった。
今までの1時間は助走だったんだなあと。

個性が違う二人。
多分、守りたいものも違う。
違うものの組み合わせがうまくいくときと、いかない時があるけど
トル(赤い少女)とネード(黒い少女)は反応したり反発したり、裏に入ったり寄り添ったりしながら、危うい楕円を作っていた。

お互いの武器をくっつけたり、分解したりしながら。
ぐるぐる回るコーヒーカップ。
遠心力に負けないようにしっかりと手を握りながら回る。

去年共作した2曲より、
今年の2曲はすごかった。

秘伝の調合された薬草、最新型のレシピ。オーガニックなスパイスや誰かの庭からこっそり盗んできた食材を、トルネードミキサーにかけて、丸めてさっと揚げたような。

噛めば噛むほど味が出て、
食べる人によって印象が違う味がして。

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「聴く人、やる人。生まれる子供」

僕は彼女たちをほぼ知らない。

一緒に行った妻は初めて。

ファン感謝デー的な流れにはついていけないところもあったし、ただの対バンじゃない全く違う二人のそれぞれのステージを見て生まれる違和感や居心地の悪さがあった。

でも、このラストの怒涛のステージで全て吹っ飛んだ。
誰のためかに用意された料理でなく
やってる二人がお互いを信頼し、(少し呆れながら?)回ってる。
真剣で楽しいオリンピック競技のように。

 

音楽を作り出す作業が作詞作曲だとしたら
ライブは生まれた音楽を誰かの手に投げること。
歌う前の自分たちの子供が、自分たちの元を離れていく瞬間。
歌が旅立つ瞬間。
だから、真剣で深い愛に満ちたものでなければ子供がかわいそうだ。

僕の心で、あなたたちの子供は育っていくよ。
聞いていた人たちの心でそれぞれ育つよ。

もっと、二人の同世代、もしくは下の世代に見てもらえたらなと思う。
例えば仲のいい女の子たちが
「私たちも、こんなのやりたい!」と思うような。

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