レイチェルの結婚:月と太陽。天使と悪魔。
依存症施設から出所して、姉のレイチェルのウエディングに参加する妹、キム。幸せの絶頂期のある家族たちに、なんとなく「疎ましく思われてること」を感じる。
姉は、天使。姉は太陽。
みんなに愛され、祝福されてる。
私は悪魔。
なぜそう感じるのか?
彼女のわがままか?
依存症の過去があるから?
すこーしずつ紐解かれてく過去。
結婚式は明日なのに。雨。
止まない雨はないというけど。
謎解きは割と早いうちにわかる。
最初は家族構成や、結婚相手の家族構成で頭が「?」って感じになるし、よくわからないまま過ぎていく物語。
いきなりのベッドシーンやら。
レイチェルの結婚:アンハサウェイのイライラに共感する
自分よりも愛され、尊敬され、欠点がなく輝く「身内」のいる人には、アンハサウェイのイライラがとても共感できるんじゃないかな。
そりゃ彼女は行き過ぎた疎外感と、警戒心と、失くしそうな自尊心でボロボロなんだけど。
自分だけが、祝福されるべき家族じゃない問いう「思い込み」は、呼吸を苦しくさせる。
過去の事件、事故。
自分自身を許せないキム。
真剣に言い争っている最中に、妊娠を告げらる時の敗北感と、置いてきぼり感。
すごくよくわかる。
そのタイミングで、誰もが祝福するようなことを言い出されたら、私なんてここにいる意味がない。これは持つべきもの、勝ってるものの卑劣な手段だ。
ところが、観客の目線をあちらこちらに持って行くのがこの映画。
手のかかる妹に、家族中が注目し、保護するのをずっと見てきた姉。
私だって抱きしめられたいし、構われたい。
ことがらは一つなんだけど、見方を変えることで、共感したり反発したりできる。
レイチェルの結婚:感情のアップダウンと家族という関係
腹がたつ。
憎い。
悔しい。
さみしい。
いろんな感情をレアのまま吹き出すことができるのが家族という関係。
素手で殴り合うような言葉の応酬も。
レイチェルの結婚:音楽の止まない映画
基本的にワーワー喋ってるだけの映画なんだけど、そこに不思議な色合いを差してくるのが音楽。
映画内では結婚式の練習やリハーサルの音楽が楽団によって奏でられてる。
気持ちが高揚したり、うるさく聞こえたり。
音楽の立ち位置がわかる。
楽しいときには共に踊り、一人でいたいときには疎ましい音楽。
監督のジョナサン・デミは音楽業界に精通してるからか、音楽のチョイスがいい。伝説のロックンローラーで、大好きな「ロビン・ヒッチコック」が出てるのも嬉しかった。
人生はアップダウンを繰り返し、傷つけ、傷つけられ、それでも人との関わりの中でしか生きていけない。そんな人生の隣にいつもダンスミュージックがある。
登場人物のかなりの多くが、自分勝手で、でも相手の自分勝手も許容する。
子供のように意固地で、大人の包容力を持つ。
イライラするけど、楽しい映画。
アン・ハサウェイ、やっぱり好き。
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