ファブリックの女王:みんな大好きマリメッコの創始者「アルミ・ラティア」
戦後まもないフィンランド。
戦争で兄弟も工房も失ったアルミは、夫のヴィリヨが買収した業務用のオイルプリントを作る会社で働き出す。やがて、個人向けに綿のファブリックにプリントすることを思いつき、1951年、新たな会社を立ち上げる。 会社の名前は<マリメッコ>。
北欧のイメージといえばムーミンと二分するくらいの存在感のマリメッコ。その創始者アルミは、ちょっと変わった人だった?
コルセットからの脱却!新しい時代のファブリックを!
戦う女性として、エキセントリックな女性として描かれるこの映画。
アルミの生涯を「舞台化する」という視点で描かれる映画。
普通の偉人もの、伝記ものにならない様にするためのアイデアは成功してると思う。
大自然が出なくても、CGで昔の町並みを再現しなくても、舞台にあるちょっとした小道具、大道具と役者の芝居で話を進められるし、ケレン味たっぷりの演出も舞台なら「あり」でしょう。
マリメッコのカラフルなパブリックがガンガンに出まくるわけではないし、何度も訪れる破産の危機とか、夫婦仲とか、ジェラシーとか。醜いところもある。そこに「ああ、これは舞台劇だもんね」というフィルタを通すこともできて、良かった。
夫や子どもたちが彼女についていけなくなり、理解されない、愛されないさびしさを、酒や他の男性で埋めようとするアルミ。この辺のグダグダぶりはドラマならでは。
実際、家族だったらやってけないだろうな。
ファブリックの女王:マリメッコ村を作ろう!共同幻想はどこへ落ち着く?
住む場所も、働く場所も一体となった理想郷マリメッコ村をつくろう!
社員を家族として迎え、家族だからこそ辛辣にもなり、言い争った後に謝ることができる。そんな人たちと自然の美しさ溢れる土地で暮らしたい。
愛したい、愛されたいという欲求の権化のような気もするが、実はそこまで深くはないんじゃないかなぁ。「会社は家族」みたいな風潮はほんと気持ち悪いし吐き気がするけど。
実際にはこの計画は頓挫する。
アルミは晩年、幸せではなかったようだ。
それでも誰かの幸せのため、自分の理想としたもののため、血を振り絞って働く。
文化の創世記。
アートが僕らに歩み寄ってくる瞬間。
その瞬間の喜びのための「いけにえ」だったのかもしれない。
それほど女性が自分の意思を持ち起業し、働くことが「社会進出」などと言われる社会だったんだろう。
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