エヴォリューション:久々に気持ちの悪い映画だ!
少年と女性しかいない、
人里離れた島に母親と暮らす10歳の二コラ。
ある日海の底に沈んだ死体を見つける。
でも、母親は相手にしてくれない。
「もうすぐあなたは変わるの。弱くなるの。脱皮したてみたいに」
その島ではすべての少年が「医療行為」の対象となっている。
なにかがおかしい・本当のお母さんじゃない。
二コラは、夜、出かける母親の後をつける。
そこで母親がほかの女性たちと海辺でする「ある行為」を目撃し、秘密を探ろうとし始める。
というのが大体のつかみ。
でも正確じゃないかも。
なんせ画面は暗く、セリフはなく。
揺れる海の中の映像で頭がゆらゆらしてくるから。
これ、大きな映画館で眠りながら見たら、別の世界へ行っちゃうかもしれない。
さすがのアップリンク配給。
エヴォリューション:色の美しさ、背骨の美しさ、部屋の暗さ。
真っ赤なヒトデ、海水パンツ。
くらい手術室。
うねうねと絡み合う吸盤。
初期のリンチとかクローネンバーグの気持ち悪さからキッチュ感を取った感じなので、フット笑えるところとか遊び心はない。
ただただ「進化」と名付けられた生き物のひそやかな生活ぶりと生き延びる術が絵描かれる。
画力の素晴らしさ。陰影の可視、不可視ギリギリを狙ってくる感じは、TVだと味わいが落ちる。
じわじわと怖い。
登場人物(女性、というか吸盤のある進化系のヒト?)の顔が怖い。美しくて怖い。
アメリカンホラーに慣れてる人には話がゆっくり過ぎて退屈だろうなぁ。
うとうとさせるための映像もたっぷりだから。
「悪夢を体感」するための映画かも。
そして、なんとなく明るい終わり方。
ディティール萌えする僕のような人にはたまらん面白いし、「ああ!こんな絵柄がいい!」とか思うし、ヒトデと手術台のランプの五角形とか、培養液につけられて、養分を吸われてる絵とか、不完全な肢体とか。ワクワクする。
お話の受け取り方は人それぞれ。
答えがなきゃやだ!っていう人は見ないほうがいいかも。
僕は勝手に映画を解釈するし、勝手に、いいように憶えてる。
主演の子供達はこの話をどうやって理解したのか?どうやって演技したのか?
この監督のとった「エコール」を見てみたいなと思った。
極北のグランブルーと言えるかも。
まるで宗教画のようなこのメインビジュアルが好きだったら、ぜひ一度、うたた寝しながらでも見てください。
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