【ストーリー&感想】を独断と偏見で書きました。ネタバレあります…
登場人物は、友達のいない少女。リストカットを繰り返す女子高生(南さん)と夜の仕事をしているアバズレさん、一人静かに小高い丘の上で暮らすおばあちゃんと
尻尾のちぎれた一匹の猫。
放課後、猫の『彼女』と
『アバズレさん』と呼んでいるお姉さん、『南さん』と呼んでいる高校生、そして一人暮らしのおばあちゃん家を巡り、『幸せって何?』と言う国語の授業で課せられた問題の答えを見つけていく物語です。
奈ノ花が出会う3人の女性は「また、同じ夢を見ていた」と同じセリフをつぶやきます。
後半にかけて、このセリフの意味が分かってきます。
そして3人とも、名乗ってもいないのに、なぜか奈ノ花の名前を知っています。そして、3人とも、、奈ノ花の前から突然姿を消してしまいます。
この3人の女性の正体とはなんなんでしょう?
そこが最大の謎でした…
【南さん】
南さんには両親がいません。
南さんとは、ある時、ビルの屋上で偶然出会います。
両親は子供の頃に事故で亡くなったと話してくれました。
リストカットを繰り返す女子高生の南さんは、両親に謝れなかった事をずっと後悔しています…
『後悔、している。ずっと後悔、しているんだ。あの時、なんで謝れなかったのかって…もう、喧嘩も出来なくなった。怒ってもらうことも出来なくなった。夜ご飯も一緒に、食べられなくなった…』
南さんは、涙を流して泣いたのです。
南さんの口癖は【いいか!人生とは、自分で書いた物語だ。遂行と添削、自分次第でハッピーエンドに書きかえられる!!】
南さんは物語を書いていました。誰にも見せた事とがないけど、奈ノ花だけに読ませてくれました。
読んだ瞬間、奈ノ花は、南さんの物語のファンになりました。
奈ノ花の両親は共働きで、いつも奈ノ花は独りぼっちでした。
奈ノは授業参観日に来れない両親に酷い言葉を言ってしまいます…
『だったら、お父さんもお母さんも仕事が忙しくない家に生まれればよかった!』
そんな奈ノ花に南さんは、『今から帰ったら、絶対に親と仲直りしろ!』ときつく怒ります。
「奈ノ花に、私みたいに、喧嘩したままもう会えないなんてことになってほしくないんだ…」
南さんに諭されて両親と正面から向き合って話した結果、両親は授業参観にきてくました。
奈ノ花が幸せについての作文を読み上げる直前に、両親は授業参観にかけつけます。
お母さんは『どうしても行きたいって、お父さんと話してね、午前中でお仕事きりあげてきちゃったの』と言いました。
その夜、久しぶりに家族三人でご飯をたべました。どこかのレストランに行こうていわれたのですが、奈ノ花がお母さんの料理が食べたいと言うわがままを聞いてくれたのです。
お母さんのコロッケはとって大きくて、美味しかったのです。
奈ノ花の両親は、事故に遭わずに済んで、奈ノ花は南さんの様に孤児になることはありませんでした。
と、、言うお話なんですが……
しかし、不思議なことがいくつかありました。南さんとは同じ町に住んでるのに、南さんとすれ違うどころか、南さんと同じ制服を着た女子高生を一人も見なかったのです……
次の日、奈ノ花は、南さんの所にいきました。
しかし、いつもの鉄の門は閉じていて、その先は長く続く階段が見えていたはずなのに、今日は二人の大人の体で隠されていました。
そのおじさん達は、この建物は取り壊される…と話ました。
そして、建物にもには、誰もいないと聞かされます。
南さんは、どこに行ったの??
しばらくして、南さんと会っていた建物に行ったら、そこには、砂利が敷かれた地面以外には何もなくなっていました。
それ以来、南さんと会うことはなかったのです…
不思議なことに、南さんの物語もどんなお話か、、思い出せません…
【アバズレさん】
クリーム色の2階建てアパートに住んでいるアバズレさん。
奈ノ花は猫の彼女と毎日、学校帰りアバズレさんちに行きます。
季節を売る仕事(多分、水商売)をしているアバズレさんは、奈ノ花が1人で生きていこうとすることには強く反対します。
「 やっぱり、お嬢ちゃん。誰とも関わらないなんて、駄目なんだ。人と関われば、こういう素敵な出会いがある……」
ある夏の暑い日、アバズレさんにスーパーでスイカを買って来てと頼まれました。
そのスーパーでクラスメイトの萩原君と会います。
奈ノ花と萩原君は友達ではありません。
萩原くんは、奈ノ花と同じく頭が良くて、本が大好きです。
奈ノ花は、そんな萩原くんは、他の頭の悪いクラスメイトとは違うと思っていました。
萩原君と、本のお話をすることが好きでした。
その日、 スーパーで、クラスメイト桐生君お父さんがスーパーで万引きをして、警察に捕まったと言うのです。
桐生君のお父さんは、優しそうな人です。『そんな事をする人ではないわ…』と奈ノ花は思っていました。
その後、数日間、桐生君は学校を休みました。
桐生君と奈ノ花は、席が隣同士で、奈ノ花にとってはベストパートナーでした。
桐生君は絵を描く事が好きです。とても素敵な絵を描くのに、クラスメイトには、内緒にしています。
奈ノ花は桐生君の描く絵が好きでした。
桐生君は、内気で自分の意見をはっきり言えません。
そんな桐生君を奈ノ花は、少し、、歯がゆく思っていました。
クラスメイトは桐生君のお父さんか泥棒をした事をクラスで言いふらしていました。
クラスの男の子の定規がなくなったのは、桐生君が盗んだしゃないか…といちゃもんをつけます。
男子達は『泥棒の子供は泥棒なんだな、やっぱり。桐生のところみたいな家族に生まれなくて良かったぜ!』と暴言をはきます。
『やっぱり、なんて馬鹿なのかしら』
『泥棒の子供が泥棒?なんの根拠もないわね。もしかしてあなたは泥棒っていうのを生き物の名前か何かしらだって思ってるの?もしあなたのその考えを使うのやなら、あなたのお父さんとお母さんも、あなと同じで馬鹿だってことになるわね。だけど、馬鹿じゃないわ。あなたみたいな馬鹿をちゃんと育てたんだもの。じゃぁ、きっとあなたが勝手に馬鹿になったのね。こーんな馬鹿な子供を持って、お父さんとお母さんもかかわいそう』
と奈ノ花は反論します!
馬鹿な男子達は、今にも、奈ノ花に何かを投げつけてきそうな勢いでした。
馬鹿な男子達は桐生君のお父さんが泥棒をしたところをみた奴がいるんだ!と言いました。
桐生君は、奈ノ花と馬鹿な男子達との喧嘩にたまらなくなり、、
『やめてよ!!』と叫びました。
桐生君は奈ノ花にやめてよ!と言ったのです。
桐生君はそのまま教室を出て行ってしまったのです。
そのまま、桐生君は戻ってきませんでした。
奈ノ花は昼休みにあったことをひとみ先生に正直に話しました。
奈ノ花は桐生君の代わりに喧嘩したのに、桐生君が出て来ていく時に時に睨みつけたのは、奈ノ花だったことも正直に話しました。
ひとみ先生は『あなのせいじゃないから気にしないで』優しく言いました。
しかし、大人がそういう時は、『全部は悪くないけど、責任はある』って意味だってことを奈ノ花は知っていました。
桐生君はそれから、ずっと学校に、来ませんでした。
アバズレさんに学校であったことを話すと、、
『私も子供の頃、お嬢ちゃん似てたんだ。気に入らなかったら、本人よりも先に喧嘩を始める。どっちかって言うと、言い返さないその子にムカついてね』
『まさに、そのままだわ』
奈ノ花は、アバズレさんに似てると言われてうれしく思いました。
【おばあちゃん】
おばあちゃんとの出会いは…
ここらへんでは珍しい木の家がとても素敵に思えて、ずっと気になっていました。
あまりにも静かなので、誰も住んでいないのかしら?と思って、玄関をノックすると、笑顔の素敵なおばあちゃんが出て来てくれました。それがおばあちゃんとの出会いです。
その日のから、奈ノ花とおばあちゃんはお友達になりました。
おばあちゃんの作るお菓子はどれも美味しかったのです。
学校の帰りにおばあちゃんちに立ち寄り、美味しいマドレーヌを頂きながら、学校での出来事、やアバズレさんのお話しをするのが好きでした。
桐生君との事で、奈ノ花はおばあちゃんにも話を聞いてもらおうと、訪ねました。
『鍵は開いているから、好きに入っていいよ。なっちゃんへ』と扉に紙が貼ってありました。
尻尾のちぎれた彼女と一緒に家にあがりました。
いつもは日当たりのいい居間におばあちゃんはいたのですが、その日はいませんでした。
そして、キッチンを通り抜け、寝室にいきました。
居間にいくまでのいくつかの部屋はみんな空っぽです。
ただ、タンスや机が置いてあるだけで、人の気配がしない部屋です。
元々は、おばあちゃんの家族が住んでいた場所だったけど、中身は家族と一緒に出て行ってしまい、外側だけが残ったのです。
空っぽじゃない部屋は、おばあちゃんの寝室だけです。
しかし、寝室には、おばあちゃんはいませんでした。
奈ノ花は寝室のカーテンを開け、程よい光が部屋の中に入ってきました。
そこで、一枚の『絵』を目にしました。奈ノ花は、その絵にに引き込まれてましいました。
いくつも色が折り重なった、果てしなく美しい絵でした。
そして、いつの間にか、おばあちゃんは、奈ノ花の横にいたのです。
その絵はおばあちゃんの友達が描いた絵だと言いました。
奈ノ花は、すっかりその絵の虜になりました。
おばあちゃんはこの絵を描いた人は家族と一緒に外国で
暮らしていると話してくれました。
おばあちゃんは、、
【大好きな事に一生懸命になれる人だけが、本当に素敵なものをつくれるんだよ…】と話してくれましましました。
おばあちゃんは絵を描く人は凄く繊細で傷つきやすい人だ…とも言いました。
おばあちゃんと色々話して、、奈ノ花は桐生君の見方になる事を決めたんだと話しました。
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桐生君はお父さんの事件以来学校に来ていませんでした。
奈ノ花はひとみ先生が放課後に桐生君に持って行って
るプリントを自分が渡しにいくと言いました。
そんな姿を見て、クラスの男子達は、『お前、あんな泥棒の為に。そんな事するのか?お前、桐生の事好きなのか?』とまた、馬鹿な質問をしてきます。
そして、プリントを取り上げ、男子達は言いました。
『みんな、お前のことなんか嫌いなんだよ!』
このやり取りを見て、奈ノ花が悪いと言う人は頭がおかしい…と思いましたが、
男子達の言うことはあながち嘘じゃなかったのです。
奈ノ花の見方をしてくれる友達は一人もいなかったのです。
奈ノ花は、桐生君ちに行き、、
お母さんに『伝えに来たの。桐生君に、私は、見方だって。桐生君には学校に来てほしいのよ。じゃないと、授業での私のペアがいないをだもの』伝えます。
桐生君のお母さんは、笑顔で奈ノ花を家にあげてくれました。
桐生くんは、部屋にこもりきりで絵を描いているようでした。
桐生君は奈ノ花を部屋に入れてくれませんでした。
奈ノ花は自分は桐生君の見方だと伝えにきたと話しました。そして、皆と戦うつもりだと…
しかし、桐生君は『僕は、戦ったりしない。僕は、小柳さん(奈ノ花)みたに強くなんだ』と。
『この!いくじなしっ!』奈ノ花は叫びました。
『帰ってよ!嫌いだ!皆、嫌い!だけど、小柳さんが一番嫌いだだ!』
もうこれ以上、ここにいても無駄だと思い、逃げるように帰りました。
次の日、やはり、桐生君は学校に来ませんでした。
そして、唯一、奈ノ花が認めていた頭が良い、萩原君も奈ノ花を無視しました。
後から聞いた話ですが、桐生君のお父さんが万引きした話、証拠もないのに、言いふらしたのは、萩原くんだったそうです。
その日放課後、アバズレさんちにいきました。
アバズレさんは『私はね、お嬢ちゃん。嫌な事も、苦しい事も、諦めてしまう大人になっちったんだ。前は誤魔化してしまったけど、私は、幸せじゃなかった。幸せの形がどんなものかも、もう忘れちゃったからだ。だけど、私は、、今日やっと思いだした。幸せの形を』
『お嬢ちゃんのおかげで、私は、幸せの形を思い出したんだ。ありがとう』
しかし、奈ノ花が『もう、私は、誰とも関わらずに生きていくわ』と言うと、アバズレさんは、『それは駄目!私みたいになっちゃうよ』と言いました。
【私ね、よく見る夢があるんた。今朝、また同じ夢を見てた】
【ある女の子の夢。自分を特別な思うのは、大切な事だよ。だけどその子は、自分を特別だと思う事を勘違いしてた。周りの人達を全員、馬鹿だと思っていたんだ。本当はそうじゃないのに。その子は、かしこいことで特別だったものだから、かしこいことだけが、特別になるたった一つの手段だと思っていた。そうすれば、立派な人間になれるって、そう思ってた。】
このあとのアバズレさんの話が、謎解き?になりますので、これ以上はふれずにいきます。
凄くいいお話です…
そして、アバズレさんは、桐生君の事も…
『言い返す事だけが戦う事とはかぎらない。彼にとって戦うってことは、我慢しながら、いつか周りの皆を見返すような、絵を描くことなのかも』
『それはお嬢ちゃんとは戦い方が違うかもしれない。だけど、お嬢ちゃんもその子も、きっと同じだ…』と。
そして、アバズレさんは、自分が落ち込んだ時、どうしてほしいか?考えて、それを桐生君にすべきだと伝えました。
良く晴れた日、奈ノ花は学校ではなく、桐生君ちに向かいました。
。
『桐生君と話したい事があって来たの。味方になるとか、戦うとか、学校に行くとか、そんなことじゃない、もっと大切なことよ』
『問題、幸せとは何か?』
奈ノ花は、桐生君と一緒に、幸せを見つけたかっのです。それが、味方になると言うことだと思ったのです。
桐生君は奈ノ花が学校に行かないことを心配しましたが、奈ノ花がクラスで仲間外れにされていることを知ると…
『小柳さん、僕のせいで無視されてるんでしょ…』
『小柳さん、一緒に学校行こう!』
『ひとみ先生に嘘ついてたし、誤らなきゃいけない。ひとみ先生に会いたい。』
『小柳さんが、味方でいてくれるなら、からかわれても、馬鹿にされても…』
『小柳さん、ありがとう!』と、今度は桐生君のお母さんの手が、奈ノ花の手を握りました。
もしかしたら、お母さんも桐生君が部屋から出るのを見るのは久しぶりなのかもしれません。
二人で学校に着いて、教室の後ろのドアから、入ると、まるで、時間が止まったみたいに誰もがこっちに目を向けたまま固まっていましたが、すぐにざわざわしました。
奈ノ花は『先生、今日の教科書全部忘れたから、桐生君に見せてもらいます』と言ったら、教室中はまた、ざわつきましたが、、ひとみ先生は『明日からは、気をつけてねっ』と言ってくれました。
ある日の国語の授業の時間。
桐生君は、『せ、先生、幸せが、何なのか、授業参観の時に言ったのとは、別の事が見つかりました。』
『僕の幸せは、僕の絵を好きだって言ってくれる友達が隣の席に座っていることです』とはっきりと答えていました。
奈ノ花は、人生とは、オセロみたいなものだと…
【黒い嫌な事があれば、白い良い事もある?そうじゃないわ。たった一枚の白で、私の黒い気持ちは一気に裏返るのよ】と思いました。
そんなある日、奈ノ花はアバズレさんちに大切なことを伝えようと向かいました。
ピンポーン!といつものように、チャイムを鳴らした奈ノ花は、【あらっ?】と思いました。
アバズレさんの家にあった表札にあった、失礼だけど、とても綺麗じゃない文字で書かれた名前が消えていました。
中から出てきたのは、アバズレさんと同じくらいの歳の若い男性でした。
『昨日も僕いたけど、君は来なかったよ?』
『嘘よ!お兄さんはいなかったわ!アバズレさんと会ったもの!』
『んー!困ったなぁ』
お兄さんはついに言葉で困ったと言いました。
そして、お兄さんは
『そうだ、奈ノ花ちゃんは夢を見たんじゃないのかな。その夢の中にここと似ている建物が出てきた。僕も子供の時、夢に出てきた場所を何回も探したけど、見つからなかったことがある』と言いました。
『夢?』そうじゃない。アバズレさんはいたし、オセロだってした。プリンも食べたし。手も握ってくれた。夢だったわけなんてない。
でも、お兄さんも本当に困っているみたいで、嘘をついているようには見えませんでした。
お兄さんは冷たいパピコを
くれました。
『一日で引っ越しなんて、無理よね…』
『それは無理だろなぁ。それに、僕、ここにもう四年も住んでる』
奈ノ花は、パピコのお礼をしてアバズレさんの家を離れました。
尻尾のちぎれた彼女は、アバズレさんがいないことを知っていたのでしょう。
階段の下で待っていました。『ナー…』
南さん、アバズレさん、、二人共、どこに行ってしまったの?
おばあちゃんの家に家についた奈ノ花は寝室に向かいました。
おばあちゃんはお昼寝をしていました。
『また、同じ夢見ていた』
おばあちゃんはそう言ってゆっくりとベッドの上で起き上がりました。
おばあちゃんに桐生君とは、うまくいったこと、アバズレさんが、いなくなったことを話しました。
おばあちゃんに『幸せとは何か?』と聞いた奈ノ花。
おばあちゃんは『幸せとは、今、幸せだって言えること』だと……
おばあちゃんの答えは今まで色々な人から聞いた幸せの答えの中で一番分かりやすくて、一番心にすっと染み込むものでした。
おばあちゃんに桐生君が描いた一輪の花の絵を見せました。『とっても素敵』と言いました。
それから何度かクリーム色のアパートにいきましたが、やはり、アバズレさんはいませんでした。
奈ノ花は、学校が終わると桐生君の家に行くようになりました。
その後におばあちゃんちに行くんですが、その頃のおばちゃんはいつも寝室のベッドで寝ていました。
奈ノ花は、国語の授業の発表が、近づいてきましたが、答えをまとめられないまま日々を過ごしていました。
もしかしたら、もう、おばあちゃんちに行かなくてもいいのかもしれない、、
そう思ったのは、ここ一週間ほど、おばあちゃんと一度もお話が出来ていからです。
その日はおばあちゃんはベッドの上に起き上がっていました。
『おばあちゃんは、どんな人生を送ってきたのか、教えてほしいの』
『私は、子供から大人になって、そして、おばあちゃんになって、好きなことをして、好きな人達と一緒に、人生を過ごしてきたよ』
『………それって、普通のことじゃない?』
『ああ、普通の人生。私は、そんな人生を送ることが出来た』
おばあちゃんは、続けます…
『誰の味方にもなってあげられなかったかもしれない、誰も会えなかったたかもしれない、人を傷つけつけていたかもしれない、誰にも優しくできなかったかもしれない。でも、私は出来た。大切な人の味方になってあげられた。友人や家族を、愛した。誰かを傷つけるこはあったかもしれない、でも、優しい人になろうと思うことが出来た。だから、私の人生は幸せだった。もしかしたら、私にもあったかもしれない。』
奈ノ花はおばあちゃんのお話しから南さんとアバズレさんを思い出しました。
『私の人生はね、本当に幸せだったんだよ。なっちゃんは、今、幸せ?』
『ええ、幸せな事がたくさんあるわ…』
『私は、おばあちゃんの言葉で一瞬にして空想の中に飛びました。空想だけど、嘘じゃありません。私の中の気づきが、そんな風景を見せていたのです。』
おばあちゃんに会いにきて良かった……
『それじゃ、私は、お昼寝の邪魔をしないように帰るわね。おばあちゃん、本当にありがとう!』
『いいんだ。なっちゃんの発表が上手くいきますように…』
おばあちゃんの家を出た時、奈ノ花の体を大きな風が通り抜けていきました。
人は、びっくりしたとか、驚いたとか、そういうものを通り越した不思議を受け止めた時、人は大きな声を出したりしないんだって、、奈ノ花は知りました…
風が去った後には、そこには、緑の葉っぱが拡がっていました。
それ以外には、何もありませんでした……
さっきまであったはずの木の家も、友達も、、そこにはなかったのです…
強い風は、それから一度も吹きませんでした。
国語の授業の発表の時、桐生君は、自分自身の幸せについて、堂々と発表しました。素晴らしいものでした。
奈ノ花は、ノートに書いておいた幸せについて、、を話ました。
緊張して、震える奈ノ花の左手を桐君が優しく握ってくれました。
南さんやアバズレさん、おばあちゃんのことを思い出しながら……
その日の放課後、桐生には、図書館で待っててもらったて、職員室にひとみ先生に会いに行きました。
奈ノ花は自分の友達が消えた不思議が、私には分からない…と話しました。
そして、桐生君を迎えに図書館に行きました。
『桐生くん、、』
驚きやすい彼を驚かせないよう、そっと、、声をかけました…
【だけど、その時、もう既に私の口や声帯は、そっちにありませんでした…】
【声がでなくなり、やがて見えている風景が右目と左目で違っていることに気がついて…】
【この時ようやく私は気がつくのです。】
【ああ、ここで終わりか、、と……】
大人になった奈ノ花と桐生君については、、あえて、ここでは明かさずにいきます。
おばあちゃんちで見た素敵な絵の正体も…
最後の最後に奈ノ花の両親のことで、びっくりする真実もありますよ!
最後まで、読んで行くと(いや、その前に)わかります。
小学生の奈ノ花
南さん
アバズレさん
おばあちゃん
みんな同一人物です。
リストカットを繰り返す女子高生の南さんは、両親に最後まで、謝れなかった未来の奈ノ花。
アバズレさんはクラスメイトとの関係を上手く修復できなかった未来の奈ノ花。
おばあちゃんは幸せな人生を過ごしてきた未来の奈ノ花。
三人が見ていたのは同じ夢だったのです。
今までのお話が、、
現在の主人公が過去に見ていた夢であると、、わかります。
う~ん、読んだあと、、そういうことかぁ…と納得します。
【また、同じ夢を見ていた】は読んだあとに、優しさに包まれる作品です…
【君の膵臓を食べたい】を読んだあとも思いましたが、、作者の【住野よる】さんって本当に男性なの?って思いました。
とても不思議で、素敵な文章ですよ。読んで見て下さい。
また、住野よるさんの作品を読んでいきます…
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