憂鬱な午後に
高校の音楽準備室。
馬鹿みたいに晴れあがった梅雨の合間の土曜日に、不良どもに見つからないよう小さな音でギターを弾く。
何かのコピーモデルだろう、安っぽいエレキギター。
人差し指で全部の弦を押さえるのはまだできないから、開放弦を鳴らす。
ジャラジャラと
何してる?
小さな声で背後からつぶやく声に慌てる。
なにもかも面倒くさそうな澄んだ瞳と長い睫毛のあいつが、窓をくぐって入ってきた。
弾いててよ
僕はジャラジャラと弦を鳴らす。
彼は英語で何かを歌う。
きっとデタラメな歌だろう。
足で静かにダンボール箱を蹴りながらリズムをとる。
ポケットに手を突っ込んだまま。
猫背をさらに折り曲げたような姿で彼はつぶやくような歌を歌う。
僕は彼に気付かれないように、カセットデッキの録音ボタンを押した。
テープが回り始めて、
1981年の空気を磁気に記録し始めた。
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簡素なギターと歌とリズム。
バンドサウンドにはまだ遠いこのレコード。
そう、ジャケ買いです。
青くてわがままな男の子たちの夢。ガラスの十代(笑)ではないかもしれないけど、なんとなくイラつく日常と遠い国の言葉で歌われる光景に、胸を高鳴らせたものでした。
wikiより
フェルト(Felt)は、’80年代ネオ・アコースティックブームを牽引したイギリスのオルタナティヴ・ロックバンド。イングランド中部、バーミンガム近郊出身のローレンス(本名Lawrence Hayward は、正式に公表されていない)とニック・ギルバート(後に脱退)が結成した。通算10枚のアルバムをリリースしたが、その間固定されたメンバーは、ローレンスとゲイリー・エンジの2名だけだった。 ヴォーカルのローレンスの書く絶望的な歌詞と音階をまるで無視した歌唱、しかしそれでいてきらびやかなメロディー(モーリス・ディーバンクの貢献によるものが大きい)は、バンドの結成から解散まで一貫しており、その音楽性を特徴づけている。 マニック・ストリート・プリーチャーズやベル・アンド・セバスチャンのスチュアート・マードック(ヴォーカル、ギター、キーボード)らを始め、多様なミュージシャンから崇拝される。
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