セーラーゾンビのマーヤに「漫画家志望」のお友達がいるということを聞いてた。
今週末に東京へ行くという。
漫画家を夢見て。
僕はサイトをたくさんつくったり、文章をかく仕事をしてる。
イラストも頼まれるし、別冊マンガジジにマンガをかくこともある。
でも、イラストがすごい苦手。締め切りギリギリまで逃げてる。
で、最後に泣きながらやる。
お話だけ考えるなら楽しいのに。
絵が好きな子にお願いできたらいいなと思ってた。
若者に発表のチャンスもあげたかった。
ほら、最初の一歩がいちばん難しいから。そのチャンスの一部にでもなれたら、と。
マーヤの友達の彼女は、まだ本格的にマンガを描いたことはそんなに多くなく
ちらっと応募したくらいのキャリア。
高校を出て、その後、働いてた。
でも、やっぱりあきらめきれなくて。
東京に出て挑戦したくなって。
21歳のいま。仕事をやめて、いくことにした。
今日はその子と打ち合わせ。
僕のほうがどんなものを求めてるか?をはなし
彼女の絵を見て。
こちらの注文をはなす。
うまく行くといいな。
僕もがんばって指導するから。
22歳。ぼくは東京へいった。
デザイナーになるために。
パソコンもスマホもない時代。
かけおちを失敗した僕ら。
ふたりで過ごすはずだった家に一人。
給料の半分が家賃と光熱費。
でも刺激的な大人達にとてもよくしてもらった。
鍛えられかわいがられた。
ほんとうによくしてもらった。
大きな仕事もした。
大きなプロジェクトにも参加できた。
なにより
「こんな変な大人なら、なりたい!」
と思ったものだ。
漫画家を夢見て、日本中から若者が東京にむかう。
漫画家だけじゃない。
音楽家や役者も。
スポーツの世界は全国的にスカウティングのシステムがあるものもあるし、ユースもある。
がんばれば目に留まることもあるかもしれない。
でも芸術は、東京じゃないとダメだ。
そこに人が集ってるから。
実力のある人、運のイイ人、夢をつかんだ人、あきらめた人。
いろんなひとが集ってるから。
成功する人はひとにぎりかもしれない。
実際、相当過酷な世界だろう。
でも21歳の彼女は「とりあえず飛ぶ」ことにした。
レースに参加することにした。
ほかのレールで順調にいっていたにもかかわらず。
なりたいものが、あるという幸運。
自分でお金をためて行動に移せるという幸運。
母親を説得したという事実。
そして
なにより数年間がまんしてたけど、やっぱりごまかせなかった情熱。
それをセットに、彼女は飛んでく。
夢をつかもうと努力する姿は
夢が叶わないことを知ってる大人達からすればこっけいだ。
でも
夢が叶わないってほんと?
ぼくは夢をあきらめてないし
夢をあきらめてない人には協力したい。
ぼくは若い頃たくさんのバックアップをもらったから。
馬鹿にもされた。
鼻で笑われた。
でも、あのとき良くしてくれた人たちのおかげで、いまぼくはここに立ってる。
してもらったことは、してあげたい。
いろんな人との係わり合いの仲で生きてる。
それを実感する。
口だけじゃない。感じるんだ。50歳になってから特に。
これから彼女がどうなるのかは、だれにもわからないけど。
彼女が感じる喜びや悔しさや感動や悲しみは、彼女だけのタカラモノ。
「重版出来」と「ゆとりですが、なにか」のドラマみたいだね(笑)
マーヤはシュウカツ。お友達は夢追い。
ゆとりもへったくれもない(笑)
そこにいるのはただの、なにものでもない21歳たち。
うちの息子も働いて、いろいろ感じてるだろうな。
ぼくとはまったく話さないけど。
ぼくもそうだったから、そんなもんだろう。
答えを探すために走ってるんじゃない。
風を感じるために走るんじゃない。
走りたいから、走るんだ。
あとで風も、答えもみつかるかもね。
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