ONCE ダブリンの街角で:シングストリートの監督作だったので見てみた
先日見たシング・ストリートがとても良かったので過去作品をめぐる旅。こんなの大好き。この「ダブリンの街角で」というのはタイトルも聞いたことがなかった。
アイルランドからイメージされる映画は「コミットメンツ」っていう途方もない傑作と、ニールジョーダンのクライングゲームが大好き。
さてさて。出世作を見てみよう。
前情報としては全米で2館スタートだったのが、評判を呼んで140館にまでふえたという低予算映画。
ONCE ダブリンの街角で:結論から言うと「映画として、あかんやろ」
なぜか?
見てる途中でギターを弾きたくなったから(笑)
そのくらい、いい曲が流れまくる。
アイルランド独特の、寒さの中で熱く燃えてる感じ。
ごっつい男が声を張り上げる、しょぼい日常と恋の歌。
アメリカ音楽の豊潤さと、イギリスの狡猾さを併せ持ったアイルランドの歌。
最後まで見てられないくらいそわそわした(笑)
ONCE ダブリンの街角で:冴えない奴らの、冴えない日々。だけど
肉体を持った詩人というべきシンガーと、チェコ系の女。
主人公の二人が、冴えない。
男は父親の修理業を手伝いながら、小銭稼ぎのために流行歌をストリートでうたう。
オリジナルは金にならねえからな。
音楽で一旗揚げようてのでもなく、別れた彼女のことをグズグズ歌にしてる。
女は女で、ストーカーだ(笑)
男につきまとう。
でも、ここからが「音楽愛」に満ちた人にだけ訪れる奇跡のソウルミーティング。
楽器屋さんでオリジナル曲を
彼のギターと彼女のピアノでセッションする。
曲が生まれて、歩き出す時の、なんとも言えないワクワク感。
初めて曲をこわごわ合わせる時の、ドキドキ感。
初めてのキスや、初めてのデートと同じくらい心拍数は上がる。
冴えない日々は、美しい歌に変わる。
ONCE ダブリンの街角で:ボーイ&ガール、ミーツミュージック。
話は簡単で。
彼はロンドンへ行く。そのためにデモCDを作る。
彼女を含めたミュージシャンを集め、3000ユーロのスタジオを2000ユーロで借りる。このシーンでの女性の交渉上手は、生活に真剣にならざるをえない事情から生まれたもので、すごい素敵なシーン。
出会って、彼がロンドンに行くまでの話。
それだけ。
ドラマティックなことは起きないし、二人はセックスもしない。
男女の愛よりも、ダブリンの町並みと音楽が主役だから。
だから音楽に興味がない人には退屈で中途半端な映画だと思う。
「え?なんなのこの映画?」で終わり。
そのくらい開き直って「好きなことだけ」をフィルムに焼き付けてる。
つまり、予算の大小はあってもこの監督、「好きな音楽」しか撮らない。あっぱれ!
ONCE ダブリンの街角で:崩壊・喪失からの再生。
何も起きないしにしても、ラストシーンの清々しさ。
何かをなす人の物語ではなくて、何かを始める人、何かをやり直そうとする人。その過程にスポットライトが当たってる。
彼が一発当てるのか?彼女の生活は安定するのか?
それはわからない。
映画はある人生の、ある時を切り取るもの。
映画のように人生は終わらない。
結末を求める人には「酷」な映画だ。
でも1日1日が、何かの「過程」だと信じる人にとっては福音になるだろう。
ボディーに穴があくまで、ギターを弾こう。
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