ELLE:僕の周りの評判が真っ二つだったので
監督がポールバーホーベン(大人の女のバイオレンスが大得意)、原作がベティーブルーを書いた人。そりゃ想像つくよね。賛否両論。
主演のイザベルユペールなんて久しぶりに見るし、何しろこれは80年代のフランス映画の香りがする。というわけで観に行った。
しかし、なんでこれKBCシネマなんだろう。最近多いなそういうの。普通のシネコンでかかってていいような感じの。
劇場はまあまあいい感じの入り。
しょっぱなから激しいレイプシーンでつかむ。
隣のおばさまたち三人組の反応が気になるところ。
猫はやっぱり役立たずだし、全てを見てるんだなあ。
わかりやすい変態ぽさはあまりなく、馬鹿な男どもを手玉にとる女という図式自体も古い。
つまり映画としてのキャッチーさはそこまでないんだけど、
全員が少しずつ、「ここまで」の線を超えてる。
ハアハアになっちゃう男たちは「セックスしてえ」ていう高校生から変わらない。
品定めをした上で自分を撒き餌にする女の子がそのまま大きくなったような大人の女。
全員が少しずつ欲望に素直すぎる。
そこが見ていて清々しい。
ELLE:イザベルユペールの脱ぎっぷりが素晴らしい
もう相当な年齢よね?
文芸作品に出る大御所っていうイメージだったけど、今回は殴られ殴り、裂かれる。
最初のレイプシーン、何度か繰り返し使われるんだけど見るたびに「これをやる!」って行った女優と「これをやれ!」といった監督に頭がさがる。
だってさ、バーホーベンだよ?腑抜けた大作ばっかりで、クローネンバーグほどの変態性もない、雑な監督だよ?その人の作品でここまでやれるのはすごいし、描き切ったバーホーベン!すごい!
やられちゃった後、「あ〜あ、メンドクセェ」てな感じで宅配ご飯を頼んだり、元夫に嫉妬してバンパーぶっ壊したり、レイプされたっって事実をあっという間に過去にする力。
ま、それはそんな段じゃない「過去」に縛られてるからかもしれないけど。
とにかく裸の美しさ、かっこよさ。
6パックに割れてるとかじゃない、自然なかっこよさ。
そしてコートを着た時にまた更にかっこいい。
黒い下着でもコートでも裸でも、立ち姿がかっこいい。
そういう役で、そういう役作りをしたんだろうなぁ。
ELLE:モラルは強制されるものではない
主人公の息子の優しさ=馬鹿さ加減が相当笑えた。
この映画はコメディーでもある。
不道徳祭り、というべきか。
息子の嫁、あれこそが僕が「女の子」に持ってるイメージです。ごめんなさい(笑)
そして、あの顔、好きです。
ヒステリックで、挑発的で、でもなんとなく落ち着いてる時もあって。
行動に意味がなくて、でも愛するものには命をかけて。
それに振り回されるしかない男、サイコーにかっこ悪い。
ベッドに射精するおっさんと、隣の旦那見ながら自慰するおばさんと。
欲望に素直だ。
やりたいことをやるだけだ。
社会的制裁が度を越した感じのある今の日本。
社会的制裁なんて、個人に向けられるものじゃないだろう?
やられたらやり返す。やられた人がやり返す。
それが個人的制裁。
一億総釣り仕上げ社会よりかは、仇討ち社会の方がまだ健全な気がする。
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