ブルーに生まれついて:BORN TO BE BLUE(決してワイルドではなく)
封切り日に映画を見るのはどのくらいぶりだろう。
イーサン・ホークはチェット・ベイカーをやると聞いてから、「え?全然にてないやろ?ルックスも声も」なんて思った僕は完全にバカだった。
なにしろ一番好きなJAZZのLPは「CHET BAKER SINGS」
黒人のスタイリッシュなJAZZの真反対の「白人の病んだジャズ」を体現してる。
その闇と病を、気になる男(笑)イーサン・ホークがやる。うむむ。
予告編でマイファニーバレンタインを歌うイーサンを見た。
チェットのボーカルとはまるで違うけど、そこにいたのは「白人の病・ヘロインジャンキーの甘い声」だった。
ブルーに生まれついて:甘く幸せなラブストーリーが真ん中に
映画は架空のもの。ドキュメンタリーであっても、編集することで真実ではなくなるし、そもそもカメラの間で真実なんてないんじゃないか?
この映画はチェットベイカーを描いてるんじゃなくて、チェットベイカーを媒介として、50年代のジャズと人の弱さと才能をすり減らしていく様と、それでも守りたいものと、手放してしまうものを描いてる。
JAZZなんて詳しくなくても大丈夫。
「求めることと、失うこと」
この二つについての物語。
ちょっとだけ知ってるチェットベイカーのお話は、ジャンキーで悲惨で、どうしようもないものばかりだったので、「ブルーに生まれついて」で描かれるジェーンとのエピソードは優しくて、暖かくて嬉しいものだった。だからこそ、結末の悲しさが引き立つんだけど。
すべての音楽は愛について歌われてる。
いびつで、手触りの悪いものほど記憶に残るんだ。
ブルーに生まれついて:自信のない天才、チェットベイカーの苦悩。実は誰にでも当てはまる。
名門クラブのデビュー戦で、人気ナンバーワンのチェットは、ドン「マイルスデイビス」にコテンパンにやられる。そこにあるのは「新しい才能を潰してやる」というジェラシーだったかもしれない。それがトラウマとなり、その後の人生はガクンガクンと崩れていく。
どうしてそんなに才能があるのに、自信がないのか?
ヘロインで地獄を見なきゃその旋律は生まれないのか?
きっと、それは勘違い。
ドラッグが広げてくれる世界なんてない。
自分の作ったすべては、自分の力によるものなのに、「ドラッグが解放してくれた」と感じ、すがるのは自信のなさ。
先人たちがドラッグをやって、素晴らしい演奏をした。
それはドラッグディーラーの宣伝文句で、きっと素晴らしい音楽家は、自分の中にあったものを出しただけなのに。
でも、すがってしまう。
肝心な時に、逃げてしまう。
それが人間。
変わらない。変わろうとしても。
ブルーに生まれついて:人間はダメなもの。スーパーヒーローなんかじゃない
ロックンローラーのジャンキー率と比べて、ジャズメンのジャンキー率はどうなんだろう。
チャーリーパーカーがモダンジャズを精神世界にまで広げてしまったおかげで、ジャズは自分との対峙になってしまった。
楽しいエンターテイメントから、深層をえぐる音楽に。
でも、この上なく甘く危険な香りがする。
ダメな人間がダメな人間と「神様の音楽」を作ろうとする。
映画「ブルーに生まれついて」でも、チェットのダメ人間ぶりがこれでもかと描かれる。
愛情に溢れた描写で。
地獄への緩やかな坂道道中を、暖かく描く。
センセーショナルなだけじゃなく、もちろん道徳的もなく。
ブルーに生まれついて:音楽の美しさは悪魔的
唇を震わせて、金管を震わせて生まれた音が、人の心を震わせる様を描く。
劇中で歌われる2曲が素晴らしい。
ざらついた物語の、ここぞ!という場面で発射される。
- I’ve Never Been In Love Before
- my funny valentine
イーサンが歌うこの2曲。美しい旋律と歌詞。
愛についての2曲。
きっと小さな映画館での上映で、期間も短いだろうけど、劇場の暗闇で体験してほしい。
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