『白夜行』残酷で孤独で純粋な二人の愛の物語

東野圭吾の『白夜行』相手を想うあまり、少年と少女が歩むあまりにも過酷で残酷な道のり。
見た人は必ず衝撃を受けます。
その重厚なストーリーが人々の心を揺さぶり、小説のヒットはもちろん、テレビドラマ化(2006年)映画化(2011年)もされた作品です。

ドラマではネタバレした状態で始まりますが、小説は
二人の関係性や心理描写が一切描かれていません。

原作では亮司と雪穂が接触する場面がなく、推理による関係性が徐々に見えてきます。

ミステリー小説のNo.1に【白夜行】をあげる人も多いのでないでしょうか……

ドラマの主人公は、山田孝之と綾瀬はるかで、主題歌は柴咲コウが担当。

製作スタッフは、2004年に放送されたドラマ【世界の中心で、愛をさけぶ】とほぼ同じメンバーです。

 

【白夜行:簡単なドラマあらすじ】

1991年、11歳の亮司と雪穂はそれぞれ、悲惨な家庭環境で暮らしていました。

亮司は父親の経営する質屋の息子で、母親と質屋の社員の浮気を幾度も見せつけられており…

雪穂(綾瀬はるか)は母親と二人の貧しい家庭で、生活の為に、母親の命令で【売り】をやらされていました。
その相手が亮司(山田孝之)の父親だったんです。
家に帰りたくないがために毎日遅くまで図書館に通う二人。
そこで出会うことになります。似たような境遇にあった二人は、徐々に惹かれあっていきます。
亮司は雪穂に恋をします。

ある日、雪穂が母親に何処かに連れて行かれるのを亮司が偶然見てしまい、追いかけて行きます。
そこには、裸にされた雪穂と、その裸をカメラで撮っている自分の父親がいるではありませんか!
雪穂を助けようと亮司は、
とっさに父親をハサミで刺してしまいます!
切り絵が得意でいつも持ち歩いていたハサミで、亮司は父親を刺し殺してしまったのです!

しかし雪穂は亮司のハサミを取り
【殺したのは私だよ】と笑顔で言い…
そして雪穂も自分を売っていた母親を憎んでいたので
、亮司の罪を母親に被せる為に、ガス自殺の様に見せかけて自分の母親を殺します。雪穂も一緒に無理心中しますが、雪穂だけ、生き残ります。

 

二人は自分達の罪を隠しながら生きていく事を決めます。

その為に、雪穂は亮司とは関わらず生きて行こうと決めます。雪穂は自ら、施設に入り亮司とは会った事もないかの様に暮らします。
二人はあかの他人のフリをして、、雪穂は殺人犯の子として、亮司は被害者の子として生きていくのです。

離れて生活をしていたのですが、高校に入り、偶然再会します。

唯一、、当時からその死を不信に思っていた刑事:笹垣(武田鉄矢)が二人を追っていて、その刑事から、逃れる為と、生きて行く為に また嘘に嘘を重ね罪を犯すのです。

そして雪穂が大学に入った時に先輩に恋をしてしまい
ます。
しかし先輩は自分の高校からの友人と付き合います。
それを妬んだ雪穂は亮司に

【自分も普通の環境に育って居たら 性格の良い子に育っていたし…】

【何にも苦労した事の無い事が当たり前と思っているあの子にあんたでも人に嫌われたり 恨まれたりしてるんだって事を思い知らせてやりたい!】と亮司に言います。

だから、、
【レイプして欲しい】と亮司に頼むのです。
でも亮司は、、
【頭おかしんじゃないの?】

【本気で思ってるんだったら病院に行った方がいいんじゃないの!?】
と断るのですが、、

結局、雪穂を不幸にさせたのは、自分の父親と父親を殺して巻沿いにした自分のせいだと思い、実行するのです。

 

そして亮司は最終的には犯した罪の多さから自分の偽装の死亡診断書を作り、自分は死んだ事にして存在しない人物として生きていくのです。

それでもいつか 子供の頃の様に また2人で太陽の下を手を繋いで歩きたいと願い
……
二人にとってそれだけが夢であり、生きがいでした。
また雪穂が亮司に酷い事を言ってしまったと一人で涙ぐみ行き詰るシーンは亮司
を愛するあまり雪穂が言ってしまったんだと…

そして、亮司を昼間堂々と、歩かせてやりたいと願う雪穂は、離婚を目的とした偽装結婚をします。
亮司に旦那さんの会社から盗んだIDとパスワードを持たせて普通に働ける様にと
企業に忍び込ませて働かせます。
相手を思いやれば思いやるほど相手の為に再び罪に罪をを重ねてしまうのです。

でも、二人ともその事が苦しくなり誰かに話したり、自首したいのですが、、
自分が自首したら相手が自分の為にしてくれた事まで台無しになる……
いつか2人で太陽の下を手を繋いで歩くんだと言う事が叶わなくなる……
と自首する事も出来ず…
しかし、唯一ずっと追いかけて来てた刑事(笹垣)の武田鉄矢だけが真相を知って行き、、最後には武田鉄矢が
【亮司、悪かった…あの時にお前らを捕まえれやってれば…】
と抱きしめようとした時、亮司が何も真相を語る事なく、歩道橋から飛び降りて自殺するのです…
そして、一人残された雪穂は話したくても自分の為に死んで言った亮司の事を思うと誰にも話せないと……
真実も話せないまま…
一人苦しみながら孤独で生きていくのです。

【白夜行:小説とドラマとの違い】

小説は完全なるミステリー推理小説です。二人の関係性や心理描写が一切描かれていません。

しかし、ドラマでは、最初から亮司と雪穂の関係性や親殺しの犯人であることが描かれています。

小説では、これらが一番最後に描かれています。

小説では二人の関係性が一切描かれいなかったような…

もちろん、ドラマでは描かれていた、二人の悩みや葛藤するところや心理描写や感情表現も全くありません。
多分………
随分前に読んだので、自信がありませんが。

そして…
【亮司と雪穂のキャラの描き方が全然違います。】

ドラマでは、二人とも犯罪を重ねてはいくけど、どこか悲劇の主人公的な描かれ方をしていますが、小説では、何を考えているか分からない少し怖い感じ…で描かれています。目的のために淡々と犯罪を犯していく…
いわば、モンスター…
少し不気味です…

あとは…
【時代設定が違います】

ドラマでは最初の殺人事件が起きたのは、1991年ですが小説では、1973年と、かなり昔の設定です。

【演出と音楽が良かった】

ドラマの主題歌【影】は柴咲コウが歌っています。
彼女自身が作詞をしています。これが、また、いい!

二人の関係に非常に合っています。ドラマが終わったあとに映像が頭に浮かんできます。どっぷりとはまります。柴咲コウは声がいいですね!

余談ですが、、今の大河ドラマ【直虎】で柴咲コウが唱える(歌う?)お経が大変美しいです………話題になっています。

【笹垣刑事役の武田鉄矢の演技がいい!】

亮司と雪穂の事を子供の時から、ずっと追いかけている刑事です。重厚な演技で、重要な役どころを演じています。

関西弁で並外れた洞察力で、二人の嘘に対して唯一疑念を抱いて、二人の嘘を暴いていきます。

【1つ嘘ついたらな、どんどん嘘つかなあかんようになんねん。そんな人生に未来なんてあらへん。お天道さんの下歩けんへんようになる。身を滅ぼすだけや】

【間違えだらけやったけど、お前が精一杯やったんは俺が知っとる。】

【一人の人間幸せにするために、お前は精一杯やった。お前の子に俺がちゃんと言うたる。お前に流れとる血は、ほんまはそういう血や。俺がちゃんと子供に言うたる。】

【お前には子供がある。
その子供に、ちゃんと、十三階段上る背中見せい】

笹垣刑事は、二人をどんどん追い込んでいくんですが、それと同時に二人に感情移入していき、、、
2人が犯した事件の真実を知った時、その真実を噛みしめて静かに涙をこらえるシーンが、凄くいいです。
最初の事件の時に、二人を捕まえていれば、、、
罪に罪を重ねていく人生を歩ませることはなかったと自分自身を責めます。
まるで、自分の子供のよいに思っていたのかもしれませんね…

【映画の感想を少々】

 

映画版は、ドラマとは違い、小説に対してかなり忠実に描かれています。全体的なストーリー展開やキャラ設定も、小説に近かったと思います。

映画も小説同様に、物語の終わりにすべてが明らかになるよう描かれています。

ドラマのように、二人が一緒にいるシーンはなかったような……

映画は、音楽や演出がかなり少なく、ただ淡々と物語が進んでいったと言う印象です。
何より主役の二人(高良健吾と堀北真希の)器量不足だと私は思いました…
ドラマのような感動はありませんでした…
嘘に嘘を重ねて、罪を重ねて、闇の中を生きる二人の
姿が描き切れてないです…

 

特に高良健吾は、、演技に重みがないな……と思って見た記憶があります。
闇の中を生きるあっち側の人間には見えなかった。
やっぱり山田孝之には勝てない。山田孝之はあっち側の人間を演じきっていましたが…
あくまで、、私の個人的な意見ですが……

☆ドラマがやはり一番素晴らしい…

☆子役の演技も良かった…

☆ドラマの中の台詞も印象に残ってます…

【桐原亮司の台詞】

☆俺たちの上に太陽などなかった。いつも夜だけど暗くはなかった。太陽に変わるものがあったから。

☆どうして俺たち生まれてきたんでしょうか?何のために生まれてきたんでしょうか?(気づいたら、親父と同じことをしていて、飛び降りようとする。)

☆信じるから裏切られるんだよ。いつ誰が裏切るかなんて想像しても意味ないんだよ。

【唐沢雪穂の台詞】

☆夜を昼だと思って生きることができた。明るくはないけれど歩いて行くには充分だった。あなたは私の太陽だった。偽物の太陽だった。だけどその身を焦がし道を照らす、私のたった一つの光りだった。

☆あのさぁ、わたしの幸せって何だと思ってるわけ?何の為にわたしが別人になろうとしてきたと思ってんのよ?何の為に毎日毎日、わざわざ急行電車に乗ってると思ってんのよ?

☆何言われても何されても、ニコニコ笑って、、何の為に7年も他人のフリしてきたと思ってんのよ?もう一回、アンタと歩くために決まってるじゃない!

☆私、間違ってるんだよね?不公平だって思ってるのは間違ってるんだよね?人の幸せを壊してやろうと思ってることは間違ってるんだよね?!

☆亮がやった事は、アタシの為にしてさ。アタシがやった事は亮の為にしてさ。そうやって、やった事を正当化しまくって生きていこうよ。

☆私もけっこうな嘘つきだけどさー、この人(キリスト)も大概だよ。神の前では皆、平等とか、信ずるものは救われるとか、求めよ、さらば得られんとか、嘘ばっか。嘘ばっか付いてんじゃないわよ!

【ドラマ最終回の結末】

亮司が歩道橋から飛び降りて死んだ後、雪穂はこれまでの事件について取り調べを受けますが、そこでも嘘に嘘を重ねて罪には問われずに釈放されます。

そして、亮司が死んでから1年後……

雪穂は、経営していたブティック経営が破綻してしまい、最後は借金地獄の生活に…
多分……亮司の死によって生きる希望を失ってしまったんだと……

☆お互いにとって、この世界で秘密を共有しているたった一人の理解者…
お互いの存在だけが「生きる希望」になっていたんです…
二人は他人には理解できない、固い絆で結ばれていたんですね…

『白夜行』今まで見たドラマの中で、5本の指に入る位、好きですね…

カメレオン俳優、山田孝之はも、、また、いい俳優さんです(笑)
綾瀬はるかも悪女を演じきってました。
彼女も素敵な女優さんです。実は、超天然ですが(笑)

 





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