ファントム・スレッド感想【ダニエル・デイ・ルイスの変わらない存在の耐えられない軽さ笑】

ダニエルデイルイス。僕にとってはいつまでも「存在の耐えられない軽さ」の人。
名優と言われ、オスカー常連。

でも、彼は「軽い」身体障害者の役をやろうと、何をしようと。

ものすごい役作りに専念するタイプで、出演しまくるわけでもない。
今作が引退作らしい。

あらすじはこんな風

1950年代の英国ファッション界を担うオートクチュールのデザイナー、レイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)が、別荘のある田舎のウェイトレス、アルマ(ヴィッキー・クリープス)を見初め、ミューズにする。惚れたわけではなく、あくまで職業的な審美眼に依るもののはずだった。アルマはしかし、その純粋な情熱で次第に彼をリードし、誰にとってもアンタッチャブルであったレイノルズの規則ずくめの生活を乱していく・・・。

まあ、よくある感じかな?と思うでしょ。
そう。よくある感じで進んでいく。
恋とは無縁だった男が、恋に落ちる、みたいな。

ただ、ディティールへの執着と偏愛ぶりが振り切れてる。

 

冒頭に身支度をするシーンがあるんだけど、男の身支度のかっこよさを100%詰め込んでる。欲望の翼のトニーレオンや、傷だらけの天使のショーケン、探偵物語の優作のように。

 

最初の見初めるシーンがもう秀逸で、日本中の男子はこれを見習うべき(笑)そして女子もさらにその上をいく彼女を見習うべき(笑)。

男は注文をする。
ひとつひとつ、丁寧に。
細かなオーダーを。ま、ありえないほどの量を頼む。
そして

「覚えた?」

と聞く。彼女は覚えたと答えると「じゃ、これはもらっておく」とオーダー票をとる。
パワハラやん!!

こんなん普通のジジイやったらパワハラ。

注文通りの料理がテーブルに揃う。

 

「他にご注文は?」

 

「今晩、僕とディナーを」

 

甘い。くそ甘い。言うよねダニエル・デイ・ルイスなら(笑)

ところが彼女はさらりとオーケーを出し、あらかじめ書かれていたメモを渡す。
「食いしん坊さん。私の名前はアルマよ」

 

このかっこよさ。
ジジイの口説き作戦の一歩先行く感じ。しびれたね。一番重要なのは「口説かれた方が勝ってる」と言う事実をしっかり認識してること。

美人ではないし、スタイルも良くない(と、本人も劇中で言う)野暮ったい田舎の女性の雰囲気を十分に出しながら、それでも芸術家の彼と互角に戦う。

この映画の面白さは「愛と戦い」

 

ダニエル・デイ・ルイスはきっと今作でも、本物のデザイナーの仕草や目線、体の動きを習得するために多くの時間を費やしただろう。

生地を扱う手の仕草、仕立て服をまとったモデルを眺める厳格な眼差し。彼がアルマに仮縫いをする作業は、あたかも男性が女性を口説いているかのように官能が立ちのぼる。

田舎の女性をお姫様に仕上げるのではなく、もともと持っているその人のエレガントを引っ張り出す。

ただ、自分の好みの体格だ。と言う理由から。

 

 

彼は彼女の体を「作品」として愛し、彼女は彼を「人間として」愛する。
そういうすれ違いを描いた映画はごまんとあるし、くだらないものもたくさん。

 

でもこの映画は「愛の狂気」が勝っている。
大立ち回りをすることもなく
罪の告白をすることもなく。

ここが新しい。
マイフェアレディやプリティーウーマンと違うところ。

 

兎にも角にも「ああダニエル・デイ・ルイスならそうかもね」と思わせるその説得力の素晴らしさ。

 

ショッキングというよりは斬新な、それでいてなんと苦させる結末については書かないので。ぜひ、DVDになってからでもいいのでみてください。

 

 

もちろん映画自体のディティール、ロケーション、セット、カメラワーク、映画の中に出てくるドレスのディティールも息をのむようだ。こんな美しいドレス、人生を狂わすし、「着る資格」が問われて当然だろう。

 

そして音楽。
映画音楽とはこういうものだよという1950年代ハリウッドの世界を音が飾ってゆく。
しかもこれを作ってるのがレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドというのが驚き。

ああ、才能よ。
羨ましい限りだ。

 

 

しかし、やっぱりこれもKBCシネマ。
この国は自分で素晴らしいものを作り出すことも、それを鑑賞することも「一部の人たち」になってしまったんだろうか?

 

【704号室】ガーリーおじちゃんはまったく役に立たない2018

 





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