僕を拾ってくれた人が死んでしまった:思い出を少し語る(18〜22才:小倉時代)

こんばんは。ブログアパート管理人のサニーです。

今日は葬儀に行ってきました。
僕を拾ってくれて、デザイナーにしてくれた人の葬儀に。まだ71才だった。

 

 

 

今から35年ほど前。
北九州市の片野にスタジオジャムという名前のデザイン事務所があった。

僕は高校生の頃から映画や音楽に狂ってて「就職しないで生きるにはどうしたらいいのだろうか?」とずっと考えてた。
手に職をつけるのがいいのはわかったけど、何がいいんだろう。
商売のように元手がかかるのは嫌だ。

聞けばデザイン事務所は「鉛筆一本あればできる」と聞いて(それは間違った情報だったけど)デザイン系の学校に行って、デザイナーになろうと思った。
まあ、無理だったら美術の先生とかで。RCサクセションの歌に出てくるような職員室が嫌いな先生になればいいや。

まず、デザイン事務所がどんなところか知らなきゃ。
ということで知り合い(悪い大人たち笑)のツテでスタジオジャムを紹介してもらったのが、大学一年の夏休み。

 

 

僕は毎日毎日、遊びに行った。
デザイン事務所は宝の山だった。
見たことのない洋書。デザインの本。画材。印刷見本。
クリエイティブなかおりと、ちょっとヤバい雰囲気が十代の若者にはたまらなく魅力的だった。

手書きのラフデザイン。パステルとマーカーを使ったカンプイラスト。
キャッチコピー、ヘッドコピー、ボディコピー。
刺激であふれた言葉。

 

ギターがおいてあって。
僕はずっと弾いてた。
邪魔だ!とは言われなかった。

ラジカセからは初めて聞くリズムアンドブルース。スタックス。
オーティス、サムアンドデイブ、ルーファス。

夢中で聞いた。

 

社長がギターを弾いて、僕がベースを弾くこともあった。

 

 

夏休みの次は春休み。
僕は通い詰めた。

 

家庭の事情で学生を続けられなくなった。
僕は絶望してた。
そんな時「そんならここで、勉強しながら働いたらいい」と誘ってくれた。
少しのお金をくれて、いっぱい勉強させてくれた。

教えてくれたわけではない。
ただ横で仕事をしてた。
発案から印刷に入る前までを、なんども見せてくれた。

 

写真がたくさん乗ってる本に、一つ一つコピーを考えたり、イラストレーター(この人も早くに亡くなった)を紹介してくれてカンプイラストを勉強したり。

僕は楽しくてしかたがなかった。
世の中を恨む時間はなかった(笑)

 

 

僕は学校をやめ、ここで働き始めた。

 

広告代理店の人も、クリエイターと呼ばれる人も、写植屋さん(今はもうない仕事だけど、印刷には重要なお仕事だった)も、みんなすごくよくしてくれた。

何もできない僕に色々教えてくれて、余計な話もたくさんしてくれた。
少しずつデザイナーの卵になっていった。

かき揚げ弁当という、体に悪そうな弁当を食べながら(笑)

 

まだユニクロが「ユニーククロージングウエアハウス」という名前だった頃の仕事とか。
売れっ子のイラストレータを使ったポスターだった。

社長の人脈で糸井重里事務所とも繋がり、ほんとのクリエイターを見ることができた。

 

その頃、社長は本格的に東京へ進出しようとしていた。
人脈や仕事の流れをつくり上げるためには、一刻も早くこの北九州を出て、東京で仕事を始めなければ。

「事務所を閉める。東京で仕事を始める。しばらくの間一人で頑張れ」

そう言われた。
僕はくまのプーくらいバカだったのか(笑)

「よーし!あちこちで稼いで、お金を貯めて東京に行くぞ!」

と、その気になった。

 

 

妻ともこの事務所で出会った。19才の時だ。
出会いの詳細は僕に聞いてくれ。ここには書けないことだから(笑)

 

事務所は無くなった。
僕はここにいた間に知り合ったいろんなデザイン事務所や会社、そして社長の弟がやっていた会社にも世話になりながら、一件5000円とかの仕事を山のようにやった。
一件5000円でも死ぬほど働けば30万円になったこともあった。

お金を貯めてたから、彼女とのデートも割り勘だったし、出してもらう時もあった。

 

 

 

今日、葬儀の時。
あの事務所のことを思い出した。

バカな話ばっかりした。
音楽について夢中に話した。
締め切り前は夜遅くまで働いた。
二人の子供の子守をすることもあった。(今日あったけど、ほんとに立派になっていてびっくりだ)

僕には大学生活につきものの「長いお休み」がなかった。
ずっとずっと、働いてた。

でも、この時。
このスタジオジャムにいるときの、ほんのひととき。
すごく芳醇な「休み時間」だったんじゃないだろうか?

 

人に「無償」で何かをしてあげることがたまにあるけど、(自分の苦にならないことだけね)それはこの時と、東京時代の「何かをしてもらった記憶」がそうさせてるんじゃないか?と思う時がある。

いいように使われてるように見えてるだろうけど(笑)

 

 

 

後日、東京での社長との日々を。

 

本当にありがとうございました。
チャンスを作ってくれて、よくしてくれて。
ご冥福を、というか、あっちでも好き勝手してください。

 

【704号室】ガーリーおじちゃんはまったく役に立たない2018

 





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