アバウト・レイ 16歳の決断:感想【凡庸な作品と言われたけれど】エル・ファニング祭りはつづく

 

アバウト・レイ 16歳の決断:自分が自分でないことは耐えられない

こんがらがったようでストレートな同居家族+

  • トランスジェンダー、17歳の少年レイ(ラモーナ)エル・ファニング
  • 彼の母マギー(ナオミ・ワッツ)
  • その母ドリー(スーザン・サランドン)
  • その同性パートナー、フランシス

 

 

レイは性別移行を望んでる。
自分は「男」なのに、体が「女」だから。
おばあちゃんのドリーはレズビアン。「レズビアンでいいじゃない?」なんていう。
女の体で、同性が好きなのとは全然わけが違うのに。

性別移行のホルモン療法は両親の同意署名が要る。
お母さんのマギーにとっては「もし将来、判断が間違っていたと思ったら?」と、サインに踏み切れない。
しかもレイの父親(元夫)とは疎遠だ。

元夫がサインを渋ってる間「時間稼ぎができる」とおもってしまうのもすごくよくわかる。

まあその後、出生の秘密的なこととかいろいろあるんだけど。
映画の評判はあまりよくなく、「せっかくのいい素材が台無し」などと捉えられてるよう。

それはきっと「ジェンダー先進国アメリカ」だからだと思う。
トランスジェンダーの役を女性がやるなんて冒涜だ!っていう意見なんて、まさにまっとうだけど。

 

 

日本というジェンダー指数がクソのように低い国において、この作品はまあまあいけてるとおもう。

生まれ持ったからだが、自分の「性別」ではない。
想像することすらできないけど、「自分が自分でない」ことを押し殺して生きていくつらさはどんなもんだろう。

例えば僕はおっさんだけど、ずっと「女装」させられて育てられたとしたら??
どれほどの違和感を抱いて生き抜けばいいのだろう。

恋愛対象が同性だ、というのでもすごく悩むだろうに
「自分の体が、自分のこころと離れてる」ことを、それも個性だよって言えるほど僕らは成熟してない。

 

 

アバウト・レイ 16歳の決断:三世代というタイトルに変わったこと

「About Ray」というタイトルで公開しようとしていて、試写での不評から「3 Generations」というふうに変えたらしい。
それはよかったかも。
実際この映画には

  • 息子
  • 母親
  • おばあちゃん

からなる家族のトラブルや言葉足らず(笑)甘えも描かれてる。

レズビアンがまだまだ日陰者扱いされていた時代に、戦って、その権利を勝ち取ったであろうおばあちゃんスーザン・サランドン。
強くて、愛に満ちてて(恋人と同居してるからね)お節介で、言葉足らず。

挿し絵画家のおかあさんナオミ・ワッツ。息子のことがほんとうに心配。決断を迫られてもなかなか・・。
しかも元夫とは「自業自得」で疎遠。

息子にはおかあさん、だけど、おばあちゃんには娘。
この「右を見ても左を見ても」な感じの立場を、すごくよく表してたとおもうナオミ・ワッツ。

トランスジェンダーの役にチャレンジして、性別関係ない切なくかわいい若者を演じきったエル・ファニングもすごいけどやはり先輩ふたりの「画面力」にはかなわない。

 

 

ドラマチックなシーンがあるか?といえばそこまででもなく
しみったれた、もしくはメッセージの強すぎる日本映画とは違い「極端なシチュエーションを凡庸に描く」ことに成功してると思う。

もっと感動的にとか、センシティブに描ける可能性はあったかもしれないが、こういう「普通っぽさ」がこの映画の味噌だと思う。

 

 

アバウト・レイ 16歳の決断:トランスジェンダーは病気じゃない

トランスジェンダーといえば知人をおもいだす。
彼は女の子の体をもってた。
僕らは彼を男の子の名前で呼んでるけど。

別に何か変わったことはない。深くは知らないからだけど。
彼を知ってから

「トランスジェンダー?だからなに?とりあえず新曲やろーよー」っていう風に、ぼくらはできるようになった。
周りのお友達のなかでも、自身の性別に違和感をもっていて、でも黙ってる人もいるかも。
そんなひとに「カミングアウト」させなくても、べつにどーでもいいっていう世界がいいな。
そんなことどーでもいいから、スタジオ遅れんなよ!って感じでね。

性別も顔かたちも何人でも、両親がどうでも、養子だろうが違おうが、ただ「記号」だったらいいよね。名前のようにただの記号。
ノーマルとかアブノーマルとかいうマジョリティー、マイノリティーじゃなく。
バルタン星人もガラモンも、おなじ一匹。
ウルトラマンもウルトラマンティガもおなじ一人。
多数少数じゃない、1+1+1+1+1の横並びの世界。

そんなのできるわけないじゃん!と思うかもだけど、思わない人もいる。
それでいいんじゃない?

 

 

きみがトランスジェンダーだろうがゲイだろうがバイセクシャルだろうが、そんなことは関係ないから「無灯火運転はやめよう」みたいな世の中がいいな。

 

【710号室】映画見聞録~映画が大好き~2019





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