誰もがそれを知っている:感想【犯人予想は割とすぐできるけど】小さなコミュニティの中で暮らす人と、一度出て行った人。

 

誰もがそれを知っている:2時間を超える大作だけど、テンポも良くてとても見やすい心理スリラー

ああ、「誰もがそれを知っている」ってのはそういうことか!ってのがわかった瞬間の怖さよ。
小さな世界で、カツカツで暮らしてる人たちと、その村を出て行った(捨てて行った)女と、昔地主だったことだけが生きがいの老いぼれと。
女対男。
過去対未来。

怖い怖い。

 

主人公のラウラ(ペネロペ・クルス)
結婚して街を出て行った。国も捨てアルゼンチンへ。
事業で成功していて、街の教会の修繕費などを寄付している。
ありがたられてはいるけど、冷ややかな目で見られてる。

でも実は夫アレハンドロの事業は失敗してて、もはや失業者。

娘と息子がいる。
この娘イレーネ(カルラ・カンプラ)が映画の前半キラッキラだ。
好奇心旺盛で、酒、タバコもやっちゃう。バイクも乗っちゃう。

教会の屋上の時計台部屋で「ママとパコが付き合っていた」ことを知る。
このあたりのシーンのワクワクする感じが、この子が誘拐されることによってガラガラと崩れてく。

そうこの「誰もがそれを知っている」は、「家族の結婚式のために里帰りした親子が誘拐事件に巻き込まれる」というのが縦糸で、小さな村では噂話しか楽しみがなく「誰もがそれを知りたがる」を横糸に。
没落していく一家を真ん中において進められるサスペンスだ。

でも物語よりもっとサスペンスフルなのが、村人の視線、家族の視線。
裏切りを重ね塗りした嘘。
犯人がうすっぺらく見えるほど、この村の人々の妬みやそしりが真っ黒だ。

 

 

誰もがそれを知っている:実生活も夫婦なペネロペ・クルス&ハビエル・バルデムの親密な演技

『誰もがそれを知っている』は、『アカデミー賞』外国語映画賞を受賞した『別離』『セールスマン』のアスガー・ファルハディ監督による新作映画。

全編にわたってスペインで撮影された。英題は『EVERYBODY KNOWS』。

ラウラ役のペネロペ・クルス、幼馴染のパコ役のハビエル・バルデムは実生活では2010年に結婚している。

ペネロペが別人のように落ちていく。
女性たちがすごく素敵。特にパコの妻(バルバラ・レニー)が美しく気高く、強い。
一番悲劇的なんだけどね。

 

Bárbara Lennie

 

代わりに、男たちのダメぶりがすごい。
おいおい!ってツッコミ入れたくなる。

 

 

ラウラの旦那は事業に失敗しても「神が助けてくれる」なんていう。
身代金も用意きない。

この「神が助けてくれる」っていうのはとてもいい伏線で「あ、なるほど。そうだったのかぁ。だったらそう言っちゃうのもわかるなぁ」と思わせてはくれるんだけど、それまではハラタツ男(笑)

 

ラウラの父親、元地主もほんとにこまった爺さんで。
賭け事で負けて土地を取られたにもかかわらず

「お前らが生きていけるのは俺の土地のおかげだ!」と酔ってはあばれる。

こういうのを老害っていうんだろうなぁ。
でもこの家族全員も選民思想がある。そんな父親に育てられたらそりゃ仕方ないね。

 

パコも、パコだ。
まったく喋らなくてもいいことを・・。

でもさ、パコはその時その時で、自分に正直な選択をしてるんだよな。
結果、ダメダメでも。
その辺に感情移入できるかどうかは大きいかも。
誰もが共感できる簡単な役所ではないから。

 

 

誰もがそれを知っている:時間をかけて深みを出すのがワイン

前半の若い二人のガールミーツボーイの部分がとても好きで(笑)
それが、こんな複雑な大人になるなんてと、がっかりする。

「何者にも縛られない」という生き方は無理で
「どんな視線にも負けない」というのも難しい。

人の不幸はやはり噂の種になり、人の成功はやっかみの対象になる。
人は他人に対して「どこかマウントをかけられるところを探してる」のかもしれないね。

 

Carla Campra

 

でも、しぼりたてのブドウと、ぶどう酒の違いを説明するシーンがあって、子供が大人になるってことと同じだなあと思わせる。
時間を重ねて、深みと苦味を産むんだよね人生は。

結婚式のシーンはゴッドファーザーのよう。
いろんな感情が渦巻きながらも「結婚式」っていうのは「うわべだけでもしわせに」振る舞うものだ。

誰もがそれを知っていても、誰も知らないふりをする。
これは優しさかもしれないね。
みんながみんな秘密を暴いていたら、この世は修羅場だ。
黙っていてなんとかなるなら、黙っておきたい。

「みなまで言うな」の世界だ。

でも、そこにジェラシーがあるなら?羨望があるなら?
引け目があるなら?うしろめたさがあるなら?

芸能人のゴシップを嬉々として話す僕らだもんね。
きっと秘密を暴いてしまうよね。

暴かれた秘密はもうもどらない。

 

 

道路を清掃していく放水車。
この水で、彼らの嘘と罪を流してしまうのだろうか?

きっとそうするんだろうなぁ。
そしてまた噂は次のターゲットをみつけるんだろうなぁ。

 

 

音楽も素晴らしく良くて、ラテンミュージックのグルーブとかなしさがたっぷり。
エンドロールに流れる歌がとてもよかったんだけど、調べるすべがない。ぜひ知りたい。

 

ラテン系の女性の顔がたまらなく好きは僕にとっては、こんな美女ばかりの村がスペインにはあるのか!!!と驚愕だけどね。
ほんとにみんな美しい。ため息もの。

 

【709号室】ガーリーおじちゃんはまったく役に立たない2019





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