ヴァージニア・ウルフの「自分一人の部屋」を(途中まで)読んで【生き生きとした文章はまるでSF映画のようにワクワクする】

こんばんは。ブログアパート管理人のサニーです。

 

久しぶりに、ほんとに久しぶりに本を読んでる。
紙の本はもう、目の関係でよくことができないから電子書籍で。
いままでは無料の青空文庫を読むのがすきだったけど、今度初めて「形ない本」にお金を払った。

どきどきする。

音楽をダウンロードで買ったりするときはそこまで抵抗なかったのに。
やっぱ「紙を綴じた本」の存在感ってすごいね。

 

購入したのはヴァージニアウルフの「自分一人の部屋」というエッセイ。
エッセイというかケンブリッジ大学の女子学生に向けた講演をベースに語られるもの。

最近では東大の学長がとても面白い講演をしたようだけど、そんな感じかな?

 

ヴァージニアウルフ:女性が文学や芸術をするなら、お金と自分ひとりの部屋が必要

1920年代。1914年7月28日から1918年まで続いた第一次世界大戦が終わって「30際以上の女性」に選挙権が与えられた。
来年は2020年。
たった100年前のこと。
当時最先端のイギリスでの話。

人々が「社会」を形成して「政治」をやり始めてからどのくらいたってるのかわかんないけど、100年前までは普通の女性に選挙権はなかったし、50年前までは人種差別は正しいものだったって考えると、この社会はまだヨチヨチ歩きなんだなあと実感する。

もしかしたら社会は疲弊してるんじゃなくて成長不良なんじゃないか(笑)

 

このエッセイ(?)の面白さは、ウルフ自体が架空の主人公のように感じることができるところ。
しかもその行動や想像力が、僕らそこまで教養のない人でも許容範囲なおもしろさと、知らないことを知るおもしろさのバランスがとてもいいこと。
そして端々に燃えるような怒りと嘆きは吹き出してるけど、全体的に「あと100年あげましょう。そしたらきっと良くなってる」という楽観主義と、ふわふわと漂い続けるユーモアで「クスッ」と笑わせてくれるところ。

堅苦しい真実をフィクションの中に紛れ込ませることによって、事実の羅列より何百倍も伝わるものになっている。

 

とくに現在のような「新しい戦前」のこの時代の

「事実から目を背けたい」「知らないふりをしていたら自分だけはたすかるかも」って思う人が多い中、これはとてもいい方法だと思う。

 

  • どうして女性には財産がないのだろう?
  • どうして物語の中の女性は美しく勇ましいのに、現実の女性は「自分の部屋さえ持てない」のだろう
  • どうして女性は紹介状がないと図書館に入れなかったんだろう
  • どうして女性作家は男性名義で出版しなければいけなかったのだろう?

たった100年前の著作なんだけど、すごく面白い。

女性の部分を自分の置かれてる状況に変えてみるといい。

 

  • どうして年収400万円以下の人は
  • どうして結婚してない人は
  • どうして病気がちな人は
  • どうしてLGBTの人は
  • どうして男は

いろいろバリエーションが広がる。
そこに立ちはだかるのは「慣例」と「社会」だ。

 

ヴァージニアウルフ:シェイクスピアに同じような才能のある妹がいたとして

とくに面白かったのが「シェイクスピアに同じような才能のある妹がいたとして」という家庭のはなし。
遺産を相続したシェイクスピアは学校に通い、

  • ラテン語をはじめ、さまざまな教養を身に付けることができた
  • 趣味としてうさぎや鹿を狩ることができた
  • ロンドンに出て運試しすることができた
  • すぐに芝居の仕事を手に入れることができた
  • いろんな人と交わり、見識を広げることができた
  • 経験や想像力を武器に、話題になる作品を書き続けることができた
  • 自由に街に出て機知を磨くことができた

さて、もし仮に「同じような才能のある」妹がいたら

  • 本をよむことを禁じられた
  • 勉強することを禁じられた
  • 家事をこなすことを要求された
  • 家から自由に出ることはなかった
  • シチューを焦がさないように一日中混ぜた

そんな逆境を抜け出してロンドンにきても

  • 女性には売春婦以外の仕事はないと言われる
  • 女性の書くものを誰も読まない
  • 女性の文学は「プードルが後ろ足で立つようなもの」と言われていた

その結果、自殺するしかないだろう。

 

そもそも、そういう環境で「才能のある女性」は絶対に生まれない。

 

ヴァージニアウルフ:部屋に鍵をかけて、自分自身と向き合うこと

今はそんな時代じゃないという。

  • 学ぼうと思えば学べる
  • 何処へでもいける
  • どんなことにもチャレンジできる

果たしてそうだろうか?

  • 「女のくせに」という気持ちが隠されてる(隠れてない場合も多々ある)「女性の才能を社会に生かす」なんて言い草。
  • 女性に売れる商品を開発しろ!なんていう会議
  • 女性の意見を取り上げて(やろう、形だけ)という方針
  • 女性を男性化させた上で政治をやらせようとする国

 

女性だからだけじゃなく、男性は?

  • 結婚して女性を養わなければならない
  • ちゃんとした仕事につかなければならない

家長制度の呪いに苦しんでいる人も多いのじゃないか?

 

僕らは昔に比べて「ひとりになること」は随分可能になったとおもう。
住宅事情によっては自分の部屋がなくても、自分だけの空間を持つことはできる。

そこで鍵をかけて「自分と向き合う」ことができる。
できるはずなのに、やってない。

自分は何者か?を考えない。
『お前は●●だ」と言われることを待っている。

社会との、人との接触で心奪われ、自分の形をなくしてる。

 

ヴァージニアウルフ:生きるため以外のお金が必要

いま、この国は貧乏だ。
同じように僕も貧乏だ。

所得の低さは自由を奪い、自分に価値がないと思わすのにはとても効く毒薬だ。
だから政治の世界、社会のシステムは

ほとんどの人を貧困にさせておく必要がある。その制度をどの国も使ってる。

ヴァージニアウルフは遺産を相続した。年間500万円と考えると簡単だ。
それで彼女はなにをするか。
生活のための仕事をせずに文章を書く。女性の自立について考える。
女性がフィクションを生み出すことを奨励する。

そんな人が出てきたら、世間は、社会はとても嫌がる。
だから、女性にお金を与えない。
女性にお金を与えることは「甘やかすこと」だと男性を教育する。

  • 男よ。お前が最低でも勝てるのは女性だけだ。
  • お前が男性の底辺だとしても、女性の頂点よりは上だ

それが教育だと思う。
それに準ずることができない男性も増えている。だから男も生きにくいのかもしれない。

 

 

ヴァージニアウルフ:彼女の人生は映画化されてる(2019:Vita & Virginia)

 

僕が最初にヴァージニアウルフを知ったのは1992年、サリー・ポッター監督によって映画化された『オルランド』

男性から女性へと生まれ変わりながら、老いることなく時空を超えるオーランドーの不思議な物語。
主演したティルダ・スウィントンの中性的な美しさが際立っている。
すばらしい映画だった。

 

 

ヴァージニアウルフ:芸術とうつ病、同性愛。

ヴァージニアウルフの父は著名な文芸批評家で、母は絵画のモデル。
小さな頃から知的、芸術的に恵まれた環境で育ってきたが、13歳のときに母が亡くなり精神を病んでしまう。
この闇は生涯に渡って彼女を悩ませたようだ。

兄が開いた知的な会(ブルームズベリー・グループ)は、のちに著名人が多く出た、進歩的な集まり。
兄の死後は、ウルフが中心的役割を果たすようになったという。

 

 

彼女は同性愛でもあったようだ。
オルランドはヴァージニアウルフが愛するヴィタのことを書いた壮大なラブレターとも言われてる。
でもヴィタとであったとき、ヴィタもヴァージニも結婚していた。
いまでいうW不倫というやつ?

そしてヴィタの夫は同性愛だという話もあって、どちらの夫も、そういうことに寛容だったようで。
イギリスという国の面白さを感じる。

お互い結婚していながら2人の関係は約10年間続き、恋愛関係が終わった後も2人の友情は続いたそうだ。

 

 

彼女は59歳で自殺した。

 

極度のうつ病だったという話もある。
彼女はこの「自分一人の部屋」で想像したシェイクスピアの妹と同じように自殺した。

 

 

ヴァージニアウルフ:自殺時の遺書が有名

 

最愛のあなた

また自分の頭がおかしくなっていくのがわかります。
私たちはあのひどい時期を、もう二度と乗り切ることはできないでしょう。
それに今度は治りそうにもありません。
声が聞こえるようになって集中できないのです。
だから、私は最善と思うことをします。

あなたは私をこれ以上ないほど幸せにしてくれました。
あなたは誰にも代えがたい人でした。
二人の人間が私たちほど幸せになれることはないでしょう。
この恐ろしい病気が始まるまでは。

もう戦うことができません。
私はあなたの人生を犠牲にしています。
私がいなければ、あなたは自分の仕事ができるのですから。
あなたはできるはずです。
もうこの文章さえきちんと書けません。
まともに読むこともできない。

言っておきたいのは、
私の人生の幸せは全てあなたのおかげだったということです。
あなたは私に対してとても忍耐強く、信じられないほどよくして下さいました。
他の人たちもわかっています。
もし誰かが私を救ったとしたなら、それはあなたでした。

私にはもう何も残っていませんが、
あなたの優しさだけは今も確信しています。
これ以上、あなたの人生を無駄にするわけにはいかないのです。
今までの私たち以上に幸せな二人は他にはありません。

 

 


ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)
出身地:ロンドン
生誕:1882年1月25日
死没:1941年3月28日
享年:59歳

 

【709号室】ガーリーおじちゃんはまったく役に立たない2019





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