a ghost story:事故死した男が幽霊になって残された妻を見守る、そんなつまらない映画じゃない
映画の始まりは普通。
説明のない男女のかかわり。
うまくいってるような、いってないような。
つまり僕らと同じような日々と時間。
調律したり
歌を作ったり。
男は事故で死んでしまう。
女は残される。
男は「あの世への扉」をくぐらず、この世に残って、女をみてる。
未練がそうさせるのだろう。
よくある話だ。
死んだものが、見守ってくれてるという「幻想」は、生きてるものに安らぎを与える。
でも、この映画は「やすらぎ」とは少し違う。
時間が過ぎていく無常と、形あるものはすべて、例外なく滅びるという諦念と、さらに「瞬間」が全てを変えるという救いが描かれてる。
わかりづらく、うとうと寝てしまう可能性も大きいけど、他ではない時間を過ごさせてくれる。
予告編をみた時から気になっていて、KBCで見過ごして。
DVD化をまっていた。
このゴーストである。
すごく惹かれる。
さみしさもおかしさも含みながら、ひんやりと冷たいシーツ。
a ghost story:昔のTvのようなアスペクト比の画面が見るものを「こちら側から覗いてる」気持ちにさせる
この映画のアスペクト比はスタンダードサイズの1.33:1。
古典的サイレント映画時代の比率だという。
サイレントは知らないけど、ミニチュアの人形劇か、お芝居小屋をみてるような気がする。
画面の四隅が丸くなったフレームも「こちらがわ」と「あちらがわ」を意図的に分けてるような気がした。
途中、ヴェートーベンの第九のことが語られる。
人はなんのためにアートを想像し、伝承するのか?
すべて消えて滅んでしまうのに。
いっとき誰かの心を温めたとしても、勇気を与えたとしても。
時の流れは「消滅」へと向かうだけなのに。
静かな映画の中で、このシーンだけが強烈にセリフがたくさん。
そう、生まれた時から全てのものは消える。死ぬ。
生きていた間の思い出でさえ、死んだらその人からは消える。
絶対に逃れられない「消滅」を抱えながら時間を過ごす僕ら。
a ghost story:時間は飛んで、一瞬で変わる
この映画の素晴らしいところは時間の描き方。
白いシーツに開いたふたつの穴が、時間のすぎるのを黙って見つめてる。
ほんとうに。
一言も発せず。
住んでいた家を彼女は出て生き、新しい家族がやってきて。
家が取り壊されて再開発されて。
かと思えばずっと過去。まだ開拓史の一部だった時代に飛んでいったり。
荒唐無稽なのに、違和感は最初だけで。
すっと
「ああ、時間の外から見たら、こんな風に感じるのかもな」
と納得してしまう。
孤独な幽霊。
もしかしたら「孤独」という観念すら、生きてる人間が勝手に与えたもので、幽霊自体は「無」なのかもしれないけど。
真っ白なシーツの端々にまでいきわたる「感情の豊かさ」
ずる、ずるっと草の上をあるいたり、すーっとビルの中をあるいたり。
自分の他にも「誰かを待ってる」幽霊がいて、すこしだけ話をするんだけど。
そのシーンが、かなりエモーショナルで(変な話だけどね)ぐっとくるんだ。
a ghost story:生きてるルーニー・マーラのすばらしさ
愛するパートナーを失って悲しい、さびしい。
その感情を、多くの俳優が演じてる。
この映画でのルーニー・マーラは、ほんとすばらしい。
人が生きるということのよりどころ「食べる」という動作で、かかえきれない喪失感を爆発させる。
美しいし、かなしい。
a ghost story:幽霊は、暴れる
ガラスを割り、皿を飛ばし、幽霊は暴れる。
受け入れられない現実に苛立ち、破壊を続ける。
生きてる人間から見たら「超常現象」なんだけど、幽霊からしたら切実だ。
地縛霊という類になるんだと思う。
生きてるときに、生きてた場所に、なにかの未練がある幽霊。
場所に、囚われてる。
過去に囚われてる。
僕らは「何かを残したい」と思ってるのかも。
無意識であれ、意識的であれ。
男は音楽を作っていた。
今ある感情を形にしたいという欲求からだけかもしれないけど、作品を残したいという欲望もあるかも。
でも、どんなに素晴らしい作品も、いずれ「無」になる。
時間の流れさえ、自分ではどうすることもできない。
自分は「時の流れ」の中にいないから。
どうすることもできず、場所に、過去に囚われている彼を救うのは?
終わりはあっけなくて、ハッとする。
クリスマスにぴったりの映画だとおもうな。
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