レイニーデイ・イン・ニューヨーク感想【エルファニングの魅力におっさんは揺らぎ、シャラメの魅力に全員が倒れる】

レイニーデイ・イン・ニューヨーク:ウディアレンのいろいろいわく付きの、でも傑作

2018年1月に「幼い頃に性的虐待を受けた」とウディを再告発した養女ディラン・ファローらの#MeToo発言により結局公開されぬままお蔵入りになった作品らしい。

ゴシップについて詳しくは知らないので割愛するけど、映画自体はとても若々しく、おっさんの情けなさと滑稽さ、若者のすがすがしさと無軌道さが描かれれながらも、ニューヨークの街案内のような「軽さ」と、雨の日のうっとうしさ、心くすぐる匂いなどが散りばめられたすっきりした映画だった。

ティモシー・シャラメ、エル・ファニングの二人を軸にセレーナ・ゴメス、ジュード・ロウら人気俳優たちがワサワサと、そして適材適所にあらわれおしゃべりしていく流れは他のウディアレンの映画と同じ。

 

 

大学生のカップル、ギャツビー(ティモシー・シャラメ)とアシュレー(エル・ファニング)。
アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ポラード(リーヴ・シュレイバー)にマンハッタンでインタビューをすることになったことから、ついでにニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。
生粋のニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーに街を案内したくてわくわくだ。
こどもの頃から通ったピアノバーや、美術館などギャツビーは自分好みのデートプランを詰め込むが、2人の計画は晴れた日の夕立のように瞬く間に狂い始め、思いもしなかった出来事が次々と起こるのだった……。

 

 

レイニーデイ・イン・ニューヨーク:おっさんは笑顔とミニスカートの餌食

この映画のエルファニングは、ぷりっぷりしてる。
うれしくてたまらなく変なテンションになったり、しゃっくりがとまらなくなったり。
ピンキーな服にミニスカート。
お色気、というのとは全く違う(?)生命力のあふれたニンフだ。

出会うおっさんたちは、みんな彼女に夢中になり、一緒に南仏へいこうとかベッドへ行こうとか。
性欲だけでなく「生きる欲」を滾らせてハアハア言ってる。

苦笑。

でも、わかる。

このことセックスしたい!っていう感じがなくもないけど、悩める中年のおっさんたちにとってはこのプリプリの若さに触れることで「癒されるかもしれない」と思うのだろう。

 

 

レイニーデイ・イン・ニューヨーク:コンプレックスインザシティー

ウディアレンの映画のおっさんたちは、ほぼ全員がウディアレンの夢の姿だ。
コンプレックスにまみれ、もがき、欲望に足を取られ、世の中を斜めに見ては「女の子が僕を救ってくれる」と信じてる。
一言でいえば「アホ」だ。

アホをアホだと描くことによって、アホは愛おしくなる。

美しきジュードロウはこのところただのおっさん度に磨きがかかり、大変よろしい。
奥さん役の人がとっっっっっっってもよかった。

当然、彼女の肌に触れることができたおっさんはいない。
直前まで行ったスターさん、女の子の子宮をねじる魅力のあるというカサノヴァもいたけどね。

プリプリの体を小さな下着で隠しながら、エルファニングの若さは爆発する。
シリアスで透明感あふれ、不幸な生い立ちが似合ういつものエルファニングはいないし、お姫様でもない。

 

おっさんたちは浮気したり、制作に行き詰まったり、呑み惚けたり。
当然だけど「謝罪」なんてしない(笑)

だってそれは「当人たちの問題」だからね。

 

そもそもウディアレンなんてただの変態が映画撮ってるようなもんだ。
変態のための映画を。
これは絶対的な褒め言葉。

 

 

レイニーデイ・イン・ニューヨーク:ティモシー・シャラメのピアノ弾き語りに惚れる

 

で、この映画で美しさをひっぱり、ため息で満たすのはティモシー・シャラメだ。
彼は本当に美しい。
やっぱり悩んで悩んで、解決策を見つける。
ニューヨークという街がそうなのかはわかんないけど、ここで生まれ育った人だけが知る共通の言葉があるのではないか?

街を愛し、うろつき、時を過ごし、排気ガスを吸い、毒気に煽られて育っていく人の街。

 

 

ティモシー・シャラメのピアノ弾き語りのシーンなんて、僕はおっさんで子宮はないけど「うずい」た(笑)
曲もピアノも歌も、歌う姿も尋常じゃないくらい美しい。

 

ぼくにとってのニューヨークのイメージはブルックリン地区。移民と混血の町。
ウディアレンのニューヨークは「食うに困らないスノッブな人の集まる町」
でも、悩み事はおんなじ。

自分は誰で、誰を愛し、愛されるべきか?

「6時1分前」なんていう王家衛ネタも微笑ましい。

 

 

レイニーデイ・イン・ニューヨーク:現実は夢を諦めた人が住むところ

そんなおっさん映画の中でも、やっぱりピリッとさせるのがウディアレン。

いつまでも夢をみてるのが「大人でない」と思われてる今、現実を見ようという声に真っ向からNOという。

はきはきとものいうセレーナゴメスの役柄。こんな人に怒られたいんだろうなぁアレンは(笑)
エルファニングの「やわらかそうなエロス」とちがい、硬く、シャン!としたエロスをもつセレーナ。
まあ映画の途中からエンディングはこうなるかな?ってネタフリがあるんだけど。

その途中で語られるセリフがこれ。「現実は夢を諦めた人が生きる場所」

 

なんともキツく、強い言葉。

 

次から次に消えてゆく夢。現実に引き戻される日々。
でもね「夢」を諦めないでいることの重要さが、その無責任さがビシッとくさびのように響くセリフ。

 

この世にごまんとある「あなたの夢をあきらめないで」というメッセージ。
そこにあるのは現実逃避か悲壮感。
虫唾が走る。
ほんとうに嫌な言葉だよね「夢をあきらめないで」てのは。
ほっとけや!

でもこの映画の中で、ニューヨークという街の中で放たれると、しっくりくる。スッと吸い込まれる。

 

ああ、とてもいいものをもらったな。

 

美しくかわいい若者たちと、下り坂のおっさんたちとの寸劇。
心がとても和らぐ映画だった。

 

【802号室】映画見聞録〜映画が大好き〜2020

 





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