RAW〜少女のめざめ〜感想【美しいフランス個人主義!かと思ったら】カニバリズムと鮮血

 

RAW〜少女のめざめ〜ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作品

2016年・第69回カンヌ国際映画祭で批評家連盟賞を受賞した、フランス人女性監督ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作品。
長編デビュー作ってのは、その人の思い100%だから、素晴らしいか独りよがりかのどっちかだけど。
これは大傑作。

主人公は16歳のジュスティーヌ。厳格なベジタリアンの獣医一家に育った彼女が両親と姉も通った獣医学校に進学するところから始まる。

異様に神経質に肉を排除する母。重たい雰囲気。
見知らぬ土地での寮生活。
ありがちな上級生からの新入生への通過儀礼としてのいじめ。
こういうのはどこにでもあるみたいだ。

動物の生肉を食べろと強要され、今まで口にしたことのなかった「肉」を食べる。
学校になじみたいという思いから。
お姉さんもめちゃくちゃ冷たいし。

その日、身体中に火脹れが。
アレルギー反応を起こしたらしい。

この火脹れのかゆいかゆい感じが、アトピーの僕には見ててつらかった。
同じように皮膚がむけ、汁が垂れる。

悲劇はそこから始まった。

 

RAW〜少女のめざめ〜どこを取っても美しい絵。画力の素晴らしさ。

じわじわとくる不快感。
生きてること、性について、人間と獣。
気落ちの悪いシーンもたくさんある。

イントロのシーンの唐突さも、きちんと回収する。
おおおおお!って声をあげるくらい綺麗に。

回収ばかりを気にしてストーリーの勢いをなくすこともなく。
ラストシーンにはなぜか「怖い」という気持ちと「可愛い」と「おかしい」という不思議な気落ちになる。
ユーモアが、厳しいのだ。

シーンそれぞれがレイアウトとして完璧。
「ああ、こんな絵が撮りたかったんだよ」と映画を志す人は悔しがり、映画好きは圧倒されるはず。

 

テーマは「カニバリズム」

獣の肉を食べてから、その誘惑に負けそうになるジュスティーヌ。
ああ、この人やられちゃうだろうなぁというキャラクターの配置の仕方も強いし、しかも少しひねりを効かせてる。
灰色の空と、動物の血をかけられたままの白衣。
無垢とめざめという捉え方は間違ってないかもしれない。
まあ、邦題をつけなきゃいけないんだったら、これでいい。

過去の映画に対する愛情たっぷりのオマージュやホラー映画への礼儀正しさ
そして永遠に持て余す10代の恐れや好奇心。
いろんな要素がぎゅっと絞られた、一滴。

 

16年のカンヌ国際映画祭で世界初上映されるとスタンディングオベーションで絶賛され、トロント映画祭では失神者を出すなど、近年まれにみるセンセーショナルな作品として話題を集めた。

米批評サイト「Rotten Tomatoes」でも高評価を記録したほか、日本でも熱心な映画ファンを中心に注目を浴び、17年6月にフランス映画祭での上映が決まると、チケットは即完売。業界人の絶賛レビューも合わさって熱気は日増しに高まり、「見なければならない1本」として公開が待たれている。

 

制服高校生の絶対領域か、社会派の映画しか作らないつまんない日本の映画人は、本当に映画の仕事をしたかったら外国に行くべきかもなとか思った。

スターシステムでもなく、予算もそんな多くはなさそうだけど、こんな素晴らしい作品を見ると逆につらくなる。

 

【705号室】映画見聞録~映画が大好き~2018





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