聖なる鹿殺し:圧倒的な粘着画像・静かで過剰なところのない演技
カンヌ国際映画祭にて脚本賞を受賞した『聖なる鹿殺し/ キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』。
ホラー?サスペンス?
どういうカテゴリに当てても違和感のある映画。
冷たい。
イライラする。
性的だ。
寒々しい。
アクションもない。どんでん返しもない。
伏線を回収するのも最小限。つまり、いいわけもなくそのままで「映画として完成させた」大傑作。
若い頃見たら「羊たちの沈黙」くらいのインパクトあっただろうなぁ。
ここには超自然現象的なものが描かれてる。
悪魔に魂売ったんじゃないか?みたいな。
でもそれに対する「説明」はない。
説明と注釈ばかりの幼稚な脚本ではない。
そのわかりにくさを無理やり理解させるのが役者たちの演技。
淡々と進むストーリー。
ああ、まだ映画が「エンターテインメント」と「アート」のどちらにも機能するってことを教えてくれる。
2018年のベスト。
聖なる鹿殺し:圧倒的な粘着・気持ち悪さ全開の男の子
あらすじは簡単。
心臓外科医スティーブン(コリン・ファレル)は、美しい妻(ニコール・キッドマン)と健康な二人の子供に恵まれ郊外の豪邸に暮らしていた。スティーブンには、もう一人、時どき会っている少年マーティン(バリー・コーガン)がいた。
彼がね、本当に気持ち悪い(笑)
映画にはいろんなサイコパスがいて、それぞれロールモデルがいるだろうけど、彼もそこに入ったかも。
マーティンの父は亡くなっている。
スティーブンは彼に腕時計をプレゼントしたりと何かと気にかけてやっていた。
その隠れてコソコソ感もすごい嫌な感じ。
病院内の青白い電球と白衣、そこに不似合いなティーンエイジャー。
不穏な空気を醸し出すマーティンを、あろうことかスティーブン家に招き入れ家族に紹介する。
そのあと急に奇妙なことが次々と。
最初は弟、次に姉と突然歩けなくなる。
これは一体、なに?検査をしてもわからない。精神的なものだという結論に。
家族に一体何が起こったのか?
ネタバレ的なことは言いたくないので言わないけど。ちょっとだけ。
「あなたは父を殺した。だから家族のうち誰か一人を殺さなければならない。」つまりサクリファイスがテーマ。
誰かを選べなかったら、家族が一人づつ
- 体がマヒする
- 食欲不振に陥る
- 目から出血する
- まもなく死ぬ
というもの。
聖なる鹿殺し:カメラの動き、アングルが素晴らしい。
この映画のムード、水の中にいるような呼吸の苦しさは動くカメラにある。
じっとりと対象物を追いかける。
それはまるで誰かの目線。
弟が倒れるシーンの秀逸さ。
絶対何か起こるという予感もさせながら、見たこともないカメラワークで「衝撃」を伝える。
カメラワーク。
これがつまらない映画が多い。
カメラは観客の目だから、物語に吸い込まれるか、引いてしまうかはカメラの責任が大きい。
流れるカメラ。
ひと時も止まらない。
写真を撮るのが好きな人はぜひ、ここからいろんなものを盗むといい(笑)僕は盗む。
それと、音楽。
無音という音楽と、ど〜んとかぶさるノイジーな音。
オーケストラの使い方はカラックスのようでもある。
つまらない音楽で台無しになる映画や、音楽だけが印象に残って「あれ?この映画どんなだっけ?」ってなるのも多いけど。
ここは音楽自体が出演者のよう。
脚本に描かれた通りに動き、演じる。
聖なる鹿殺し:ニコール・キッドマンは作品を選ぶ能力があるね
コリンファレルもともかく、ニコール・キッドマンの嗅覚はすごい。
ポピュラーな女優さんなのに単館ロードショー的なアート作品、エンタメ作品を見抜く力がある。
演技がどうとかはよくわからないところもあるけど、聖なる鹿殺しでは、冷たいセクシーを撒き散らす。
愛情の行方がどこに向いているのかわからないくらい。
すごい。
自分だけ助かろうとしてるのか?
子供を生贄とするのか?
イエスともノーとも言わず、冷たい目線を送る。
聖なる鹿殺し:神聖?新星バリー・コーガン
レクター博士が切り刻んだ人の肝臓を優雅に食べるシーン。
それに匹敵する今回の「ーティンスパゲティを食べる」
えげつないよ。
ケチャップ味の赤いパスタをグイグイ食べるんだけど、気持ち悪い。
そこで話されるお父さんとの話も気持ち悪いし。
鮮血が散る!というより全編通して「濃度の高い血液がゆっくりと垂れる」感じ。
ファーストシーンからしてダメな人はダメかもしれない。
そのくらい素晴らしい映画。
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