シドニーホールの失踪:感想【芸術が人を殺す】誰にも言えないことを抱えて生きる

 

シドニーホールの失踪:静かに殴りかかる映画

いやあ、もう。完敗。
てっきりベストセラー原作の映画化かと思った。(だとしても圧倒的だけど)それがオリジナル脚本。
この映画が劇場公開されないというのがこの国の文化レベルを物語ってますね(笑)

誰にも言えない秘密を抱えて生きるのって、どんなに苦しいだろう。
僕にはないから想像つかない。

映像も、演技も、ストーリーも、音楽も申し分ない。
ただ、幸せな気持ちになれない。

 

オタクで冴えないシドニー・ホール。
高校生。
授業での作文も、学校新聞に投稿する短編も「題材に問題あり」とされる。
でも執筆した小説思わぬヒット。ピューリッツァー賞候補にもなる。
ところが彼の本に影響された若者が自殺してしまう。

自分の作った作品が、誰かを殺してしまう。
そんなショックに耐えられなかったのか?作品をかかなくなり、失踪する。

5年後、アメリカ各地の書店でシドニーの著作が燃やされる連続放火事件が発生する。彼が自分の本を燃やしたらしい。

 

と、見せかけて。

深い深い衝撃的なドラマが描かれるんだけど。

 

シドニーホールの失踪:ローガン・ラーマンとエル・ファニングの素晴らしさ

シドニーホール(ローガン・ラーマン)。
彼のファンのエキセントリックな彼女メロディをエル・ファニング。
シドニーの高校のクラスメートで、フットボールの花形選手。
シドニーを追いかける謎の刑事

時間軸や入れ替わる。
確かに全てを説明しないとわからない人たちには難しいかもしれない。

 

なぜ?彼は消えたのか

なぜ?二人は一緒じゃないのか?

なぜ彼は西へと放浪してるのか?

なぜ刑事は一人で彼を追ってるのか?

なぜ?

なぜ?

 

高校でのシーンはそのまま学生映画にでもなりそうな可愛いエピソードがあったり、いじめがあったり。
先生との信頼があったり。

売れっ子作家になった頃は、重圧と焦燥と、ジェラシーとで気が狂いそうになるくらい重い。ヘビーな映画であり。

放浪からラストまではきちんと謎を解きながらも、2時間ドラマのような「解説自慢」にならず。

三本の映画をたっぷり見たような喜びと悲しみで、おいおい泣いてしまった(笑)

 

 

シドニーホールの失踪:夢も希望もないのにとても清々しく重たい

自分の生み出した作品が、誰かを救ったり殺したりする。
自分のミスで誰かが死ぬ。

自業自得な主人公。今の日本でいうなら「努力ポルノ」でもなく「自己責任」だから、確かに誰も見たいとは思わないかもしれない。
ほとんどの人は、誰かに影響を与えることはない。だから想像するしかない。
でもここで描かれる親子関係は、どこにでも潜んでる闇を匂わせる。

食い違い、すれ違い、間が悪く。
たったそれだけのことで人生は狂っていく。

 

誰かに、胸の内を話したい。
その欲望は死を前に必ず起きるものじゃないかなぁ。

 

素晴らしい映画、ディランの歌。
これが世界レベル。

日本の映画が大好きで、映画監督になりたいと思っていた初老にとって、あまりにも文化レベルの違いに悲しくなる作品。

 

それにしてもメロディ役のエル・ファニングは天使だ。

彼女の出る映画はほんと素晴らしい。スーパー8から泣きっぱなし。
ロリータじゃなく、天使。しかも演技が老獪。

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気分転換に美しいエルファニングのバニティフェアのグラビアをどうぞ。

 

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