The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ:イケメンじゃなきゃ成り立たぬ
女の園に迷い込んだ男が、女たちに翻弄される。
まあ、手垢がついた設定よね。
無人島だったり、ジャングルだったりで、男はいつも複数の女を手玉にとる夢を見ながら手玉に取られる。
まあこれも「メンズドリーム」かもしれない。
ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演による『白い肌の異常な夜』のリメイクらしい。
この作品は見てないけど、この監督とイーストウッドなら間違いない映画とは思う。
男っぽさなら間違いないこの映画のリメイクをガーリークイーン「ソフィアコッポラ」がリメイクしようと思ったのかな?
答えは「私が作れば女の作品になる」っていう自身かもね。
怖い怖い女の本性、というよりもメンズドリームからはみ出た女性映画。
マミーズポルノ映画とはわけが違う。
アメリカ南部。世間から隔絶された女子寄宿学園に、美しい女性7人が暮らしていた。
ある日、食料としてキノコを採取してた女の子が負傷した北部の敵兵を見つける。
敵兵だよ?傷ついていたとしても。
南北戦争時代なんて、多分女性が自分の意思で何かをするなんてことはなかったはず。
敵兵が来たら、味方に引き渡す。
それが普通。
それなのに屋敷へ運んで手当をするのはやっぱり「イケメン」だから。
筋骨隆々で、ワイルドで。
女性に対しても紳士的で、少女に対しても礼節を持つ。
つまり「欲望の目覚め」なんだね。
これ逆だったらどうなるだろ?
男の園に流れ着いた美女。怪我してる。
ただのポルノ映画(悪い意味でね)にしかならないかも。
そのくらい女性が抑圧された時代背景がないと説得力はないんだけど、ソフィアコッポラはその辺はもう、まる無視。
男の下半身と胸板と、女の白い服に隠された肉体にだけ絞って描く。
映画としての説得力よりも「女としての感情の変化」に重きを置いたんだろう。
The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ:三者三様のハアハア
- ミス・マーサ:ニコール・キッドマン
- エドウィナ:キルスティン・ダンスト
- アリシア:エル・ファニング
男を巡ってハアハアいうのはこの三人。
キルスティン・ダンストのおばさん変化にびっくり。でも美しいとか言われちゃう。こういう一言が命取りなんやなぁ。
ニコールはいつものように理性的であろうとし、規律的でいようとしながらもブランデーで男を誘う。
天使エル・ファニング はここでも天使。無垢な欲望ストレート(笑)
彼女はこの映画の「メンズドリーム」だ。
サスペンス的な凄さとかはなく、誰もが想像した通りの展開で、想像した通りのエンディング。
少しそういうソープオペラ的なものをバカにしたような感じのさえある。類型的。
下ネタとしても単純な「きのこ」のメタファー。
あえて火曜サスペンスのような展開にしたのはやはり
- 白い服が土に汚される
- 女の欲望は深く強い
- 男はやっぱりバカだ
といういつものソフィアコッポラ節を立たせるためじゃなかろうか?
僕は大好きだったよこの映画。
The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ:一億総ロリータ社会日本ではどう取られるか?
予告編にもあるセリフCan i get you anythingが
「私が欲しくない?」
って訳されるこの国にはやっぱちょっとがっかり。高校生映画の見過ぎで頭がバカになったのかもしれない(笑)
この映画が「おばさんたちの欲情丸出しで気持ち悪い」と感じる人が多かったのもわかる。
天使エル・ファニングなら許せるであろう欲望のシーンはあっさりと描かれ、ニコール・キッドマンやキルスティン・ダンストなどミドルからそれ以降の女性の欲望についてじっくりと描かれるから。
そして男が確実に添え物でしかなく。
機能的でない抑圧された服は欲望を隠すから美しい。
白いレースの服を繕いながら生きていく時代の女性たちの儚さ(の裏に燃えてるたくましさと欲望)
それらを解放したはずの現代だけど。
目に見えない白いドレスはまだまだ柔らかい体を絞り上げているようだ。
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