メアリーの総て:感想【フランケンシュタインを描いた女性の話】エルファニングの作品は外さない

 

メアリーの総て:1818年に出版された「フランケンシュタイン」の作者メアリー・シェリーの伝記映画

今からちょうど200年前。
誰もが知るツギハギの魔物を作り出したフランケンシュタイン博士のお話を描いたのが当時18歳の女性メアリーシェリー。
僕は知らなかった。

フェミニズムの創始者、あるいは先駆者とも呼ばれるメアリー・ウルストンクラフトを母、無神論者でアナキズムの先駆者であるウィリアム・ゴドウィンを父として生まれたメアリー。

店番もせず墓場で小説を書く少女。

 

19世紀のイギリスで小説家を夢見る少女メアリーが出会ったパーシー・シェリーという詩人。
こいつがまさにアートクズなんだけど(笑)
なにせ妻子持ちで、しかかけおちまでしてたのに、あっさりと「愛は冷めてしまった」なんて捨てちゃう男。
作家は、詩人は、それでもいい。
作品が、アートが総て。

メアリーとパーシーは互いの才能に惹かれあい、情熱に身を任せて駆け落ちするが、パーシーは自由恋愛主義で、責任や生活というめんどくさいものからは逃げて逃げて逃げまくる。

子供を作り、死なせて。勘当されて逃げまくる。
この辺の描写が甘くなくていい。
ほんとにクズに書かれてる。

お金持ちのボンボンの手慰みものとしてのアートの側面がよく書かれてる。

とにかくこのパーシーと作家のバイロン卿の二人のクズぶりが素晴らしく惚れ惚れする。

 

メアリーの総て:男に依存する女、女を食い物にする男

なにせ200年も前のこと。
いい生活をしたり、いい作品を出版したりするにはまず「いい男」を見つけなければどうしようもない時代。
女が生み出せるものは「子供だけ」という時代。

体を使い、魅力を使い、男に孕ませられることでしが女が生きられない時代。

メアリーも、彼女の義理の妹もそう。
女を使って男に取り入ることでしか生きていけない。

そんな憂鬱極まりない世界を生きていたからこそ、歴史に残る小説が生まれたのだろう。

ロウソクの火で本を読み、かく。
夜の闇はほんの一部だけかき消される。
頭の中で生まれた物語を、紙の上に記す行為は、暗闇から手を伸ばす魔物のよう。

いろんな苦難や裏切りを乗り越えてメアリーはフランケンシュタインを出版する。
出版に関しても女であるがゆえ、屈辱的な条件を飲まされる。

 

メアリーの総て:エルファニングがひたすら素晴らしい

そんな憂鬱になるばかりの映画の中、頬を赤らめ、恥じらう姿も、怒りに満ちた言い合いも、空っぽな心も素晴らしく演じきるエルファニング。
彼女の作品選びはほんといい。

絶対外さない。

女性が生きにくい時代。自分の責任とばかりは言い切れないいろんな悲しみにぶち当たる。
でも後悔はしない。

「私の選択が、私を作る」

この言葉に涙が溢れましたよ(笑)

 

少しばかりの努力をして、それが報われないことを時代のせいにしたり、環境のせいにしたりしてる僕ら。
ものすごい逆風の中、メアリーはそう言い切る。
素晴らしい。

選ばざるを得なかったこともあるだろう。
選択肢がなかったことも。

でも自分が選んだという事実に誇りを持つことでしか、自分の人生を輝くものにはできない。

強くて、美しい。
今見なきゃいけない映画でした。

 

小説「吸血鬼」も同じとき、同じ空気の中で生まれたなんていう偶然もある。
僕たちを甘い毒で満たしてくれるヒーローが生まれた時代の話。

メアリーの肖像画。(1840年、リチャード・ロスウェル画、ナショナル・ポートレート・ギャラリー蔵)

 

【705号室】映画見聞録~映画が大好き~2018

 





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