『バクマン。』の映画の話（後編）

語り尽くせぬ『バクマン。』の話、後編です。

❤︎小ネタ・ディティール❤︎
原作もしかりですが、『バクマン。』の面白さって、かなりリアルな「職業モノ」としての面白さがとても大きいと思うのです。
ジャンプ作品をはじめとする名作マンガやマンガ家さんのお名前が、実名でばんばん出てくるところも小気味いい。特に『スラムダンク』は劇中にかなりのオマージュがいくつも見られて、ファンは「おっ」ってなります。

そして今回の映画を語る上で外せないのが「編集会議」のシーン。ジャンプの編集長・副編集長・各班のキャップ編集者だけが参加できる、マンガ家さんたちの新連載候補作をアリ・ナシに振り分けてゆくという秘密会議です。
このシーン、リアリティがあってめちゃめちゃ良いです。
もちろん実際がどうかは知る由がないわけですが、とても現実の手触りがあるというか、観ていてものすごく気持ちいいんですよね。
大根監督自身も「あのシーンなんで面白いのかわかんない。なんであのシーンにエクスタシーを感じるのか」って言ってらして、興味深かったです。「エクスタシー」っていう単語にとても納得。

❤︎美術❤︎
美術なくしてはありえない映画『バクマン。』、最初から最後まで、画面のどこを切り取っても隙がなく素晴らしかったです。一回観たくらいじゃとても追えないので、 DVD買って細部まで観ていきたい…

そして、エンドロールは本当に伝説だと思います。とっても話題になっていますよね。
ほんとうに、あのエンドロール見てるだけで、泣けてきます。愛がでかすぎて。

ちなみに衣装は伊賀大介さんが担当されていました。伊賀さんのスタイリング、大好きです。

❤︎音楽❤︎
主題歌と音楽を手がけたのはサカナクション。いやーーー格好良かった！
映画『バクマン。』全体の疾走感は、サカナクションの音楽あってこそ。ものすごい化学反応が起こってると思います。
マンガを描くペンの音自体の気持ち良さはもちろん、その音が、サカナクションが作り出すリズムと混ざり合っていくところなんてもう最高です。
とにかく『バクマン。』は「映画館で観といて良かったー！」って思う箇所だらけなのですが、間違いなく音楽もそのひとつ。

主題歌『新宝島』もめちゃめちゃ良くて、映画を観終わったあとであのイントロを聴くとエンドロールと直結して、思い出して鳥肌立ちます。

❤︎大根仁監督❤︎
『モテキ』を映画館で観たときもめちゃめちゃ興奮したのですが、『バクマン。』もそうで、大根監督の演出はもういちいちたまらんです。踊らされっぱなしです。

先日、大根監督と、ほぼ日の糸井重里さんが緊急対談をされていて。
途中からあの有名プロデューサー川村元気さんも参加して、最終的に２時間半という大ボリュームのリアルタイム配信（！）となりました。これ、すごかった。
対談のアーカイブ見れます！

ものすごい作品が生まれるときって、偶然の顔をしたたくさんの運命で織りあげられてゆくんやなあ、って思いました。
出来上がって振り返ってみて初めて分かる、神様の設計図があるみたい。お話を聴いていて、ぞくぞくした。

映画『バクマン。』も、生まれる前に、
『モテキ』があって、森山未來くんの『TeZukA』という手塚治虫さんのマンガを表現した舞台があって、そのプロジェクションマッピングを手がけた方がいて、長渕剛さんの書道パフォーマンスがあって、映画『桐島』と『るろ剣』があって、健くんと神木くんに繋がり、そして今回二人の前に立ちはだかるライバル・新妻エイジという天才を、健くんと神木くんが尊敬し一目置く役者・染谷将太くんという天才が演じ…
ひとつの作品が出来上がるまでの、そのひとつひとつの繋がりを思うと途方もなく、大袈裟じゃなく奇跡やなと思う。

こちら、ほぼ日の『バクマン。』特設ページ

http://www.1101.com/bakuman/index.html

映画を観終わったあとは、対談動画も是非。
全ての職業人、特にモノづくりをしている人には、たまらない内容になっていると思います。
そう、やっぱり『バクマン。』って「職業モノ」なんですよね。

川村元気さんが「結局は『バクマン。』って仕事がんばっている大人が一人で観に行っちゃうんですよね。この映画に感動するって、すげえ仕事がんばってるってことだと思う」って言ってらして、ぐっときました。

映画『バクマン。』は、マンガへの敬意と愛情がこれでもかと詰まった作品でありつつ、同時に、限られたマンガ好きの人だけが楽しむ、みたいな作品にはけしてなっていないので。
毎日、自分の目の前にあるお仕事と、自分自身の人生をがんばっている大人の人たちに、是非観て欲しいです。（もちろん学生さんも！）

★「前編：キャスト編」はこちら

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