ゆれる人魚:こんなにも愛らしいクリーチャーミュージカルがあっただろうか?
いやあ予告編を見て、即座に手帳に丸印を書いた。
そのくらいハードルを上げて見たのに、オープニングから満面の笑みで見終わった。
冒頭5分の映像が上がってるので見て欲しい。
もうね、イラストがかわいくてスクリーンを食べたくなるくらい(笑)
19XX年代のポーランド、ワルシャワ。
あるとき美しい人魚の姉妹が、海から陸に上がってくる。
「食べたりしないから〜私たちを丘に上げて〜」って。
もうこれだけでツボ。
ふたりがたどり着いたのはナイトクラブ。
ストリップやライブ演奏を楽しむ大人の社交場。日本でいうストリップとはちょっと違う「ストリップティーズ」
曲に合わせて踊りながら、服を脱いでいく。
焦らして焦らして。
最後の一枚になった時幕が閉まる。
つまり「焦らされることを楽しむ文化」だから、夫婦でも友達でも一緒にやってくる。
得意の歌を披露して、人魚の二人は一夜にしてスターになる。この辺も
「さあ、今宵、歌うのは人魚です」
「おーぱちぱちぱち」
てな感じで。そこに悲劇性も奇異もなくて、素晴らしすぎる音楽とダンスがあるだけ。
水をかけると足が超巨大な尻尾になるんだけど。
リトルマーメイドと比べてそのデカさったら。
美しい!!!
ゆれる人魚:セクシーは大人の持ち物
でね、ポイントなのは。美しいとはいえ子供な二人。国中がロリータな日本だとこの二人がAKB的なスター扱いをされるんだけど、メインのボーカルは夏木マリのようなめちゃかっこいい女の人。
こういうところが本当違う。
大人がかっこよくて、少女は子供。
上半身裸だろうが、性器に指を入れられようがセクシャルではない。
セクシーは大人の持ち物。
少女たちの「楽しさ」「キラキラ感」はまばゆいばかりだけど、大人の持つセクシーさには叶わない。
少女たちの青春を扱った「エセポルノムービー」的な青春映画とは格が違うのはココだし、女性が監督だという利点かもしれない。
このアグニェシュカ・スモチンスカ監督は『ゆれる人魚』が長編デビュー作。
2016年サンダンス映画祭ワールドシネマコンペティションドラマ部門で審査員特別賞を受賞。その後も各国の映画祭で次々と受賞した。
80年代のファッション、ワルシャワの空気、それをノスタルジーだけでなく描き切る。
ゆれる人魚:完璧なサウンドトラック
ホラー版「ラ・ラ・ランド」とも言われたこの映画。確かにそう言えないこともない。
素晴らしい楽曲がストーリーを紡いでいくから。
どちらというとエレクトロ風味のヘドウィグ・アンド・アングリーインチに近いかも。
訳詞ですら素晴らしい言い回しの歌詞がたくさん。
原語で聞いたらもっと凄いだろうけど、英語じゃないからもう全然わからない。
それでもあまりに素晴らしいので、帰るなりサントラをポチってしまった。
ベースは人魚姫なので、お話は簡単。丘に上がった人魚が人間に恋をして、感わず、泡になる。ただそれだけのストーリーをこれほどまでにかわいく、快活で、陰鬱で、激情に仕上げた映画はあまりない。
- ぼくのエリ
- 獣は月夜に夢を見る
- パーティーで女の子に話しかけるには
と共通した「女の子はクリーチャーである」っていう共通項は、男の子なら誰もが持ってるだろうし、大人なら誰もが思い当たる節があるはず。
そして異質なものへの憧れこそが物語になり、歌になり、映画になる。
ゆれる人魚:わかってるのに悲しい。
で、子供の人魚二人は初めてタバコを吸ったり、初めてお買い物をしたり、初めて恋に落ちらしながら「大人になっていく」。
こう書いちゃうと「ああ、また今はやりの育成自己満足か〜」と思うかもしれないけど、決定的に違うのは「捕食」すること。
人魚にとって人間は「食べ物」。
でも姉のシルバーはベーシストの青年と恋に落ちる。恋はすべての悲劇の始まりだね。
人魚の姉がウロコを剥ぎ取って「これでベースを弾いて」っていうんだけど。
もうたまらんですよ。
もちろん彼は人魚を可愛いと思うけど、「魚」としか見てないんだ。
こういう映画こそ、すべての人に見てもらいたいけどなぁ。
R15だけど。
日本映画に足りないのは大人のセクシャリティじゃないかなぁ。
もうそろそろ、制服ミニスカートの絶対領域を克服すべき。
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