希望が浜で心を決めた恭子の元にまなみがやってくる
提供者の生きる権利を世の中に知らしめようとするレジスタンス。
陽光にいる頃から、恭子を遠くから見守り、友人としての最低限のアドバイスをくれたまなみ。
彼女のコテージ内の人間が、外の人間を傷つけた。
これは
家畜が村人を傷つけたニュースと同じ。
即刻、殺される。
かわいそうだとは思うけど、そのことに特に怒りを覚えることはないよね。僕ら。
まなみたちは追われ、捕まったものは即時解体される。
彼女はその活動を「生きがい」だと言った。
短くも美しく燃える。
物理的な時間は短くても、生きている実感を感じ、規定外の怒りも感じ、絶望も知る。
自らの首を切り、自分の命を「自分で始末する」
私たちにとってみると「お金をかけて育て上げたのに、損失だ」と思える行動。
だって、その命は僕らが作り、将来買うためのものなんだから。
生きてるって、生きてる実感て何だろう。
自分の命を奪おうとするものへの、たった一つのレジスタンスは「自分で自分の命を奪う」こと。
それしかない。
恭子と美和、友彦のバランスは爆音とサイレンサーのように奇跡的だったんだけど、もう元には戻らない。
恭子も、友彦も。ずっとずれ続けていた金庫のパスワードが合致し、強力なN極とS極の磁力で引き合う。
ここでも友彦のクズぶりが素晴らしい。
でもそれもわかる。
彼女への愛は、ただそれだけでなく。自分の夢を叶えるための道具でもあるから。
本当にあるかどうかわからない「猶予期間」を手にするための、手段だから。
だって、
彼氏が自分と別れて「他の女のところへ行く」なんて告白されたら、その女がどれだけひどいビッチか捲したてるのは普通。
そんなことは関係ない!って言ってしまうのが、浅はかな男の姿。本来。
でも友彦にとって恭子は
「本当に愛し合っている証明=提供者になる迄の猶予期間」を手にする道具でもあるから。他の男と寝てるってのは、まずい。
それは深読みで、「女に処女性を求めるおっさん遺伝子」の性かもしれないけど(笑)
信じてた愛にそっぽを向かれ、大好きな友人を失い。恭子は心を閉じてしまう。
人間をやめて天使になる。
まるで人でないものに変わってしまった碇シンジ君のよう。
次回から最終章。
希望編
絶望してこその希望。
失くしてこその価値。
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